コトン・マザーの教育思想にアプローチするにあたり、彼が残した日記、説教、教理問答、宗教的パンフレットを収集した。また、ニューイングランドにおけるピューリタンの生活事実やメンタリティーをめぐる社会史研究の成果を渉猟し、マザーの子ども観や教育観を当時の社会的文脈に位置づけて相対化することを試みた。 彼が残した子ども向けの教理問答書である『ニューイングランドの子どもたちへの形見』や育児指南書『育児への配慮』には、原罪説を前提とした子どもの魂の救済が説かれるとともに、宗教教育を効果的に展開して子どもを回心へと導くための配慮として、子どもの恐怖心に巧妙に煽りながら内面統制していく志向性が如実に表れていた。
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