研究課題/領域番号 |
25381014
|
研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
杉澤 経子 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 研究員 (50647740)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 多文化社会コーディネーター / 専門職 / 省察 / 評価 / 認定 |
研究実績の概要 |
本研究では、多文化化する日本社会の問題解決に寄与する専門的人材養成という社会的ニーズに対応するため、「多文化社会コーディネーター」の専門性を明らかにし、専門職としての社会的認知を高める認定制度の確立に向けて、専門性評価のあり方とその方法を検討することを目的としている。 平成26年度は、前年に検討された多文化社会コーディネーターの専門性および現在各所で行われている多文化化の問題に取り組む人材養成の取り組みについて、事例研究と基礎研究を実施する中から、認定制度の具体的あり方を検討し、さらに東京外国語大学で実施している「多文化社会コーディネーター養成講座」修了者のうち実際に多文化化の問題に取り組む自治体や国際交流協会職員、学校教員、大学職員、NPO職員など多様な立場の実践者の参加を得て、職能集団として必要とされる「倫理綱領」の策定を行った。具体的な活動内容は以下のとおりである。 ①前年度に実施した他団体の人材養成プログラムに関する調査から「多文化社会コーディネーター」の専門性評価の制度づくりに向けて学べる観点を抽出する事例研究会および倫理綱領策定のための研究会として合計5回行った。 ②前年に行われた専門性評価の枠組みを踏まえて具体的な評価の観点を抽出する基礎研究会を5回行った。 ③東京外国語大学多言語・多文化教育研究センター主催の「多文化社会実践研究・全国フォーラム(第8回)において、26年度の成果を報告し、ディスカッションを行った。 本研究は、多文化社会の課題を解決する専門人材の力量をどう評価できるかが重要な観点である。したがって有能な実践者の暗黙知に焦点を当てる必要があることから、現場のベテラン実践者が研究に参加することによって実質的かつ効果的な研究が行われていることに大きな意義があった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に沿って専門性評価の枠組みから具体的に項目別に専門性評価の観点を議論し次年度の認定試行に向けて一応の指標を作成できた。また、事例研究から抽出された視点を踏まえて、多文化社会の現場で取り組む実践者との議論によって専門職に求められる「倫理綱領」を策定することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度となる平成27年度には、これまでの研究成果を踏まえて、「多文化社会コーディネーター養成講座」の修了者を対象に、認定の試行を行い、その検証を通して、具体的な専門職としての認定制度の確立を目指す。また、研究の成果を報告書にまとめる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
27年度の認定試行に向けて多文化系学会に所属する研究者を招いて議論をするため謝金および交通費が支出される予定であったが、次年度に実施することになったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
27年度において、これまで検討してきた認定における専門性評価の枠組み、専門性評価の指標、審査体制等の妥当性を検証するため、多文化系学会に所属し、「実践研究」に関する研究を行っている研究者の協力を得て、実際に認定を試行するため、その謝金・交通費等に支出する。
|