本研究は、多文化化する日本社会の問題解決に寄与する専門人材が社会的要請となっている現状に照らして、そうした人材を専門職として認定する制度の確立を目的としたものである。 過去2年間においては、専門職の知の再整理および専門職養成を目的とする多様な養成プログラムについて事例研究を行ってきた。3年目は、そうした研究をベースに、多文化社会の問題解決に寄与する専門職の知を明らかにし、多文化社会コーディネーターの専門性評価の枠組みを検討した。その上で、実際に認定試験を試行・検証し、さらに認定制度のあり方として報告書にまとめた。具体的な活動内容は以下のとおりである。 ①研究会の開催:前年度から実施していた「事例研究」の総括的議論を行うことを目的に年度内に2回開催した。 ②認定試行試験審査委員会の開催:多文化社会コーディネーター養成講座修了者を対象に認定試験を試行するため、多文化系学会で「実践研究」に関する研究に関わっている研究者・実践者に審査委員として参加してもらい、認定試行における審査および検証を行った。 ③東京外国語大学多言語・多文化教育研究センター主催の「多文化社会実践研究・全国フォーラム」において、3年間の研究成果を報告した。 ④3年間の研究成果を『多文化社会における専門職の知と専門性評価に関する研究 多文化社会コーディネーターの専門職の知と専門性評価―認定制度の構築に向けて』として報告書を発行した。
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