(1)《実験的研究》 授業書「新しい数―分数」(2014年改訂版)による実験授業の結果を検討した(実験授業は、2014年10月~11月、総計20時間、小学校4年生を対象に実施済みである)。検討は、授業過程の分析、評価テストの分析、感想文の分析、3点に渡って行った。その結果、子どもたちは、適度な困難性を含んだ問題に対しても積極的に思考を展開しており、授業書の内容・方法が概ね積極的・肯定的に受け入れられていたことが明らかになった。合わせて、今後における改訂の課題が明らかになった。 (2)《歴史的研究》 分数の定義に関する基本的な立場に注目して、師範学校からの意見報告、および、国定教科書(第2期版)の使用時期における分数教授の実践的研究を検討した。その結果、上記2点において、初等数学としての分数論が形成されていたことが明らかになった。この点については、2014年度の研究によって明らかになった、国定教科書における分数論の転換に関連する重要な歴史的要因として位置付ける必要性が示された。
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