研究課題/領域番号 |
25381018
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
原田 信之 名古屋市立大学, 人間文化研究科, 教授 (20345771)
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研究分担者 |
高旗 浩志 岡山大学, その他部局等, 教授 (20284135)
中西 良文 三重大学, 教育学部, 准教授 (70351228)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 協同学習 / 協働学習 / グループ学習 / アクティブ・ラーニング / 授業評価 / コンピテンシー / ドイツ教授学 |
研究実績の概要 |
本研究は、学習効果を高めるグループの活用と学力として社会コンピテンシー(SC)を育成する協同学習の指導法の定着に貢献することを基本視座としている。その研究実績の第一として、グループ学習のなかでも学習に高い効果をもたらす指導法と社会コンピテンシー(SC)育成との対応関係を明らかにするために、ジョン・ハッティ (John Hattie) の「可視化された学習 (Visible Learning)」を対象とする研究に取り込んだ。このハッティの研究成果は、目下、国際的に展開されている実証的な学校・授業開発研究に係る論議にほぼ遍く登場し、効果が高いと見込まれる学習の前提条件や要因は何かをめぐる論争の答えを見つけるのに重大な成果と評価されている。助成による本研究はハッティ研究の日本初上陸と位置づけることができ、その意義は大きい。ドイツのテルハルト (Ewald Terhart)、マイヤー (Hilbert Meyer)、バイヴル&チィーラー (Wolfgang Beywl & Klaus Zierer) の研究を通しハッティ研究をわが国に紹介すると共に、拙稿「協同の学びで育成するコンピテンシーと効果に関する研究 ~汎用的能力としての社会コンピテンシーの評価のために~」にハッティ研究の成果をまとめた。 第二に、協同学習の授業評価開発者であるトラウプ教授(カールスルーエ教育大学)と協議の場を設け、トラウプらの研究グループが開発した授業診断・自己評価シートに関し、開発の意図、運用の仕方等に関する聞き取り調査を行い、サンプルシートの提供を受けた。第三に、協同学習やSCに関し授業評価項目を立てて経年的に教育の質保証研究に取り組んでいる学校(フリードリッヒ実科学校、エリーゼ・フォン・ケーニッヒ・コミュニティスクール、シュタインハルデン基礎学校)への観察・聞き取り調査を行った。授業評価における協同学習やSCの位置づけ、規準設定の理由や妥当性について調査し、授業診断シートのサンプルの提供を受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
協同学習及びその授業評価に実績のあるトラウプ教授らが開発した授業診断シートのサンプル提供、そしてエリーゼ・フォン・ケーニッヒ・コミュニティスクールは、学校・授業評価において州モデル校であり、この学校で開発され日常化している授業診断シートのサンプル提供を受けるとともに、その開発意図、授業の評価・改善のための運用、その評価規準を実践化した授業の観察等、しっかりとした聞き取り調査が行えたことは充実した報告書の作成につながるものである。グループ学習(協同学習)において高い学習効果を上げる指導法や要因の特定、様々な授業改善の他の要因と比べたときの協同学習の学習効果に関し、一つの答えを出してくれるハッティ研究を根拠に本科研の課題を論究できたこと等を挙げることができる。
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今後の研究の推進方策 |
すでにこれまで成果の一部を論文等として発表してきたが、最終年度となる次年度の本科研研究成果の主なものとして、単著書の刊行(年内)と最終報告書の作成(年度内)を予定している。後期中等段階にも展望を拓くため分担者を加え、ドイツのその最新の協同学習の授業モデルを用いた授業開発及び効果検証にも取り組む。これまでの科研調査の実績、「グループ学習の工夫に関する実態調査」の拠り所となった問診診断表、グリーン研究所が開発した資格認定プログラムの水準設定、トラウプらが開発した授業評価シート、協同学習実践校で開発・運用されている「授業診断シート」等に基づき、本研究課題において中核となる「授業診断・自己評価シート」の開発及び協同学習(SC育成)の指導力アップ手引に関し最終報告書にまとめるとともに、授業実践への活用に役立つように、授業者活用版をHPに公開する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者高旗浩志(岡山大学)において、未使用分(145,879円)が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
未使用分については平成26年度の執行予定に従い、平成27年度分担金としてそのまま研究分担者高旗浩志(岡山大学)の物品費として充てることとする。
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