研究課題/領域番号 |
25381022
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 耕治 京都大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (10135494)
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研究分担者 |
西岡 加名恵 京都大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (20322266)
石井 英真 京都大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (10452327)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 思考力、判断力、表現力 / 授業研究 / パフォーマンス評価 / 長期的ルーブリック / 教育評価 / 授業改善 / 海外研究 |
研究概要 |
(1) 諸外国における教科教育及び評価に関する調査:平成25年度には、長期的ルーブリックのみにとらわれず、授業の改善に資する諸外国の教育評価に関する調査をすすめた。まずは日本における教育評価研究の到達点を押さえ、その背後にある欧米の教育評価研究の動向を調査した。具体的には、米国におけるパフォーマンス評価を取り入れた実践事例、対応する評価規準を検討した。また、ヨーロッパ諸国の教育評価に関する政策の現状と評価研究の動向を文献により調査した。さらに、オーストラリアにおける教育評価の理論についての検討も行った。 (2) 国内における先進事例の調査:平成25年度には国内における学年を超えた評価規準の開発や一貫教育に取り組んでいる学校を調査し、成果と課題を明らかにする。具体的には、学校教育現場における長期的ルーブリックの開発の先駆けとなっている香川大学教育学部附属高松小学校に訪問して授業観察を行い、その授業で活かされている教育評価を分析した。 (3)協力校での開発研究:研究代表者および分担者がこれまで協同で授業研究に取り組んできた京都市立高倉小学校において、長期的ルーブリックの開発を目指した授業づくりを行った。このとき、子どもが作り上げた作品やノート、ワークシートなどの学習成果物を継続的に蓄積・分析することで、子どもの学習成果の実例と対応させながら評価規準を吟味していくとともに、授業づくりの改善がどのような子どもの変化としてあらわれるかを見取った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、従来の評価方法では適切な評価が困難であった思考力・表現力・判断力を効果的に評価し、これらの力の長期的な発達を促進する評価指標(ルーブリック)を開発することを通じて、授業を改善することを目的としている。今年度は、海外(主として米国、英国)における評価研究動向の分析、国内の先行事例の調査を行った。この研究によって、学年を超えた長期的な見通しを持つためのルーブリック作りに向けた基盤をつくることができた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)諸外国における教科教育および評価に関する調査:平成26年度は中学校に対象を絞り、各教科で各国の学力調査問題やパフォーマンス評価を取り入れた実践事例、対応する評価規準・基準を検討する。①中国の中学校を訪問し、授業場面における教育評価の影響及び教員の取り組みを調査する。②米国における国際学力調査の影響、および米国の教育評価に関する研究・実践がアジア・欧州に及ぼした影響を、文献により調査する。③ヨーロッパ諸国の教育実践における教育評価の状況を、文献および資料により調査する。 (2)国内における先進事例の調査:特に中・高等学校の対象校を訪問して授業観察や資料収集を行い、そこでの成果と課題を明らかにする。加えて、先進実践事例に関する文献や資料の収集と分析を行う。 (3)協力校での開発研究:中・高等学校に焦点を当てて、協力校である香川大学教育学部附属高松中学校、福岡教育大学附属福岡中学校、園部高等学校と共同で長期的ルーブリックを開発し、授業改善に生かす。このうち園部高等学校では既に英語科で長期的ルーブリックの開発が進められており、こうした蓄積を他の教科や他校へと波及させていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度には協力校への調査訪問を予定していたが、文献調査で実施可能であったため。 文献資料を収集するために使用する。
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