研究課題/領域番号 |
25381028
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
衛藤 吉則 広島大学, 文学研究科, 准教授 (60270013)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シュタイナー教育 / 国際研究者交流 / 国際情報交換 |
研究概要 |
平成25 年度は、シュタイナー教育思想の能力概念について関連文献の調査(「生きる力」「コンピテンシー」との比較検討)ならびにシュタイナー教育の実践者との交流を通して考察を進めた。夏と春の長期休暇を利用して、オーストラリアのアデレードにシュタイナーの治療教育で著名なバーバラ・バールドウィン(Barbara Baldwin)女史を訪ね、広島の江田島で開催された国際ヴァルドルフ連盟講師の仲正雄氏の講演会に参加し、シュタイナー教育における人間理解と治療教育の実際を学んだ。 研究成果としては、論文に「シュタイナー教育思想の哲学的基盤(2)-「哲学的考察の原点」としてのカント的認識論-」『HABITUS』(第18巻)、’Holistic Paradaigm Common to Educational Thought of R. Steiner and M.Motessori: Questionnaire for School Investigation’『倫理学研究』(第21号)、「中国に灯されたシュタイナー教育の炎-移入のプロセスと展望」『倫理学研究』(第21号:孫ゲツ馨さんとの共著)を著した。 さらに、昨年、北九州市役所と、廃校となる青年自然の家の跡地利用を目的として、シュタイナー教育に基づく発達支援施設の創設の可能性について話し合いをもった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シュタイナー教育における能力概念について、「生きる力」や「コンピテンシー」との比較に基づき、その独自な概念について考察し、英語論文として著すことができた。また、社会制度を異にする中国へのシュタイナー教育の拡張状況を歴史的に解明することもできた。さらに、シュタイナー教育の実践家から直接、シュタイナー教育の人間観と具体的な教育方法を学ぶことができた。
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今後の研究の推進方策 |
教育上期待される「今日的能力」(キー・コンピテンシー、生きる力)と「シュタイナー的能力」に着目し、そうした能力の獲得程度を検証するためのアンケートを作成する。具体的に、アンケートは、知(思考)・情(感情)・意(意志)・体(身体)・徳(価値観)・社会性という指標に対して、人生観、職業観、学校観、獲得能力、健康、家庭・社会の側面を問うパラメーター構成とすることを構想している。しかも、各問いは、シュタイナー教育の根底に置かれる〈原理(認識論・人間観・世界観)〉と実際の〈教育方法・内容〉ならびに〈達成される能力〉との有機的な連関を組み込んだ内容となる予定である。また、行政ともタイアップし、本研究成果を発達支援教育に役立てることも計画している。
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