教育の成果は、教師に資質能力、指導力に負うところが大きい。学力低下、生徒非行等の問題が指摘される中、教育内容、教育制度等の教育諸改革が実施されているが、その改革の中心は教師教育の改革である。教育という営みの中でのキーパーソンは、教師なのである。 戦後我が国の教師教育改革は、「相当免許状主義」「開放性の原則」を踏まえて、幾多の改革を経てきた。そして、教育内容や方法等のレベルアップという一般的な意味での高度化は実施されてきた。例えば近年の例をみると、1988(昭和63)年の教員免許状授与に必要な科目(教科に関する科目、教職に関する科目等)の単位数の引き上げ、同年の初任者研修制度の創設、1998(平成10)年「教職に関する科目」等の充実、単位数引き上げ、2002(平成14)年十年経験者研修制度の創設、2007(平成19)年教員免許更新制の創設等である 。 こうした中で、最近改めて「教師教育の高度化」という概念で改革が提案されるようになった。 そこで本稿では、「高度化」という概念で教師教育改革を提案した、中教審答申「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について」(2012(平成24)年)を中心に、「教師教育の高度化」とは何か、それとの関連で特に教員養成・免許制度について考えた。そして「教師教育の高度化」の先進国であるアメリカの事例からその実態を探り、我が国における「教師教育の高度化」について幾つかの課題とその展望をした。
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