研究課題/領域番号 |
25381045
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
森山 賢一 玉川大学, 教育学部, 教授 (90337288)
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研究分担者 |
町田 健一 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (00245664)
工藤 亘 玉川大学, 教育学部, 准教授 (10365877)
牛渡 淳 仙台白百合女子大学, 人間学部, 教授 (30151856)
池上 徹 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 准教授 (30333264)
太田 拓紀 玉川大学, 教育学部, 助教 (30555298)
山崎 準二 学習院大学, 文学部, 教授 (50144051)
野口 穂高 玉川大学, 教育学部, 助教 (60434263)
田子 健 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (70167493)
酒井 博世 名城大学, 大学・学校づくり研究科, 教授 (80267799)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 教員養成制度 / 教員養成制度の移行 / 中央教育審議会 / 教職課程 / 教職大学院 / 私立大学 / 教員養成カリキュラム / 大学院修士レベル化 |
研究概要 |
教員養成制度の移行に関する総合的研究の目的・方法に関する議論を行い、共同研究者間の一致をみた。本研究でいう「教員養成制度の移行」とは、理念と制度形態との両面にわたって長く維持されてきた制度の構造が、現在から近い将来において、どの時点かで大きな規模で変化を生じることを指している。 2009年民主党政権誕生の際の同党マニュフェストでの教員養成「6年制」の提起から、2012年8月の中央教育審議会答申を経て2013年10月の協力者会議報告に至る4年に及ぶ政策論議を時系列的に分析し、関係資料を収集するとともに、それぞれの論点を明らかにした。特に2012年8月の教員養成に関する中央教育審議会答申以降の政策動向について、協力者会議の議論を分析し、2013年10月の協力者会議の最終報告を2009年以来の教員養成制度に関する審議の結論と判断した。 次に、現行教員養成制度に関する大学側の評価に関する調査である。教員養成制度の新制度への移行に関し、大学側の積極的な支持を得ることができるかどうかが今後の大きな課題であることから、長期に及んで大学制度の一部として機能している現行の教員養成制度を大学側の視点で評価し、課題や改善点を明らかにすることを目的に、1.質問紙法による調査、2.大学教職課程担当者へのヒアリングによる調査を実施した。1.は質問紙法(4~8件法)による調査であって、 回答者を教職課程の責任ある立場の教員(教職課程委員会委員長・教職センター長など)、郵送法:538大学に発送(私立:379校、国立:76校、公立:83校)回収校数:303校(私立:218校、国立:42校、公立:43校、回収率:56.3%)となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教員養成制度改革をめぐる中央教育審議会における審議の分析等を通じて、本研究の視座を確立することができた。教員養成制度の移行を考えるにあたり、まず現行制度に関する大学側の評価と大学院段階の教職課程整備に向けた大学側の理解と意欲について、制度改革の可能性と課題を明らかにする質問紙及びヒアリング調査を行い、結果の概要をとりまとめた。 現行教員養成制度に関する大学側の評価に関する調査は、教員養成制度の新制度への移行に関し、大学側の積極的な支持を得ることができるかどうかが今後の大きな課題であることから、長期に及んで大学制度の一部として機能している現行の教員養成制度を大学側の視点で評価し、課題や改善点を明らかにすることを目指している。もうひとつ、質問紙調査として別に取組んでいるものに、教職大学院のカリキュラム比較を中心とした各大学院当事者の意識調査がある。本調査は記述を中心とする詳細に亘るものである。現在調査票の回収を終えたところであって、今後分析が行われる。この3件の調査の総合的な検討が次の課題である。 以上をまとめるならば、本研究は、今後の教員養成制度の移行がいかなる過程を辿ってなされるのか、に関する実証的な研究である。その必要は論をまたないが、今日求められる研究は、移行に際しての養成側である大学の持つ条件をどのように活用すれば移行は可能であるのか、に留意したものであろう。本研究では、政策動向の分析、教員養成を行う大学、教職大学院側に対する調査票による調査、さらには大学における養成担当者へのヒアリングを行っている。これだけの研究を短時日で行ったことは、大いに評価されることと考える。
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今後の研究の推進方策 |
教員養成制度改革をめぐる中央教育審議会における審議動向の分析について、与野党、文部科学省、教育委員会、教育関連団体の議論の状況を検証して総合的な分析とすることが必要であり、教師像、学校観を中心とした教員養成理論と答申内容の比較研究も求められる課題である。また行ってきた3件の調査結果の分析を行い、取りまとめを行いたい。これらの研究を踏まえて、現行教員養成制度から新制度への移行に伴い、条件の具体化に関する検討を行う。今後進む具体的な制度設計への有用な知見を提出したい。 ・当面の改善に向けては、大学院での専修免許取得率の向上方策、教職大学院設置の推進のために中学校高等学校教員養成に適したカリキュラムの原則、学部教職課程独自のあり方に関して検討を行う。 ・制度移行に関しては、学部教職課程の「カリキュラムと教職指導」両面の充実策の検討、大学全体として教員養成教育を行う運営体制のあり方について検討を行う。 ・専修免許について、現行専修免許課程の改革による一般大学院教職課程のカリキュラム改革の原則について検討する。「実践的な科目」導入の適否、実施可能性等。 ・短期大学の扱いによって、幼稚園教員の供給等が不安定となる恐れもあり、制度移行に関する短期大学の意識を明らかにするとともに、今後の短期大学教職課程の制度のあり方を検討する。・インターンシップやボランティアとの関係を含め、可能な教育実習のあり方に関する大学側の意識を明らかにすると同時に、効果的な教育実習の体制整備に関する検討を行う。以上の研究の成果については第1-2年度、第3年度に分けて研究成果報告書を刊行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究の進行状況により、今年度予定していた図書資料費に関しては、複写する形で対応したため、その分次年度に関連図書、洋書購入に回す形とした。 その他(会議費)について、今年度2回の会議を予定していたが、分担者の調整が難しく、1回の開催にとどまった。2回目の会議はメール対応としたため、その分は次年度に行う予定とした。 平成26年度以降に予定している研究計画を進行させていくことによって、次年度使用額は解消される見通しである。具体的には、以下の費目において使用する。 1.教職大学院のカリキュラム等調査の分析等経費、2.特色ある教員養成を行う大学等に対する調査旅費、3.関係図書資料の購入費、4.関係研究業務補助のための人件費
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