研究実績の概要 |
最終年度(平成27年度)の研究実績は、3点に集約することができる。 ①6月開催の第37回国際教育史学会(イスタンブール大学)において、海外研究協力者(Dr Peter Cunningham, ケンブリッジ大学)らと研究成果をパネル発表し、そのなかでイギリス新教育運動期の国家政策のひとつに日英の教育交流とトランスカルチュラルな意味内容があることを確認した。具体的には、イギリス新教育運動を牽引したハリエッタ=ジョンソン(Finlay-Johnson)校長やロンドン大学のパーシー・ナン(Percy Nunn)教授らの教育改革を先導したケンブリッジ女子教員養成カレッジのE. P. Hughes(校長)の進歩的な教育思想は、日本政府と英国政府の教育政策に影響を与え、教授法としての「劇化法 (Dramatic Methods in Education)」の導入を促した。 ②、8月18日から9月10日までの期間、イギリスのロンドン大学、大英図書館、ケンブリッジ大学において第一次史料の収集及び海外研究協力者(Mr Gary Foskett, Dr Peter Cunningham) らとの研究会を実施し、新教育運動の重要なテーマとして据えられていた「劇化法」に存在する「自己表現」(self-expression)「自己評価」(self-evaluation)という思考枠組みが、「自由」対「統制」を超えうる回路を形成したことを確認した。そして、その回路形成の可否は、「劇化法」の内容・方法によって異なることを、同時期のドラマ教育との比較において確認した。 ③平成26年度末から取りかかっていた共同研究者との共同研究論考 Education and the Hadow Report; Learning from the History of Education を推敲し、完成させた。
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