研究課題/領域番号 |
25381056
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研究機関 | 山口学芸大学 |
研究代表者 |
松村 納央子 山口学芸大学, 教育学部, 准教授 (50341136)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | F.フレーベル / 自然諸学 / ベルリン遺稿 |
研究実績の概要 |
フレーベルが男性と女性とで構成される「人類」の性差を考察するにあたり、男性には拡張という性質を、女性には集中という性質を付与した。この性質が未分化である子どもに対し、教授1810年代フレーベルは自然哲学を射程とする考察を進めている。 数論の教授に関して、ベルリン・教育史研究図書館所蔵の遺稿のなかに数論に関する記述を見い出した(BN 188: Zahlenlehre. 1 Heft)。この手稿の成立年は不明であるが、大学での研究生活に入る以前、ペスタロッチーのイヴェルドン学園で過ごした1808年から1810年の間に記されたと類推され、イヴェルドンの教師シュミット(Schmid, Joseph)に依拠した数論の教授に関する例題と考察とで占められている。この手稿の表紙には「母のための数の基礎」と題が付されており、母性による教授論を考察しようとしたことがうかがえる。また、ベルリン大学鉱物学教授であったヴァイス(Weiss, Christian Samuel)の論をまとめた「ヴァイス教授の自然に関する哲学的検討について」(BN 334: Ueber des philosophische Studium des Naturwissenschafts von Prof. Weiss)では、連続性に関する記述が認められる。この論考での術語がその後のフレーベルの思考実験や教育実践に関する論述においてどう関連するかが今後の課題となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料収集は当初の計画に準じ、ベルリンドイツ教育史図書館所蔵の未刊行資料ならびにチューリンゲン州フレーベル博物館所蔵の未刊行資料を収集することができた。 なお、当初の計画では想定していなかった教育者シュミットとの接点を示す資料を発見した。先行研究においてはシュミットとフレーベルとの心情的な関係性は指摘されるものの、理論面での関連性について論じているものはわずかであることから、現在シュミットとフレーベルとの関連性について吟味しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
フレーベルのベルリン大学在籍時の未刊行資料を基に、教育に関する論考との接点を明らかにすべくさらなる読解と考察を進める。 また、研究成果を学会大会にて発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内にあるフレーベル関連文献ならびに19世紀初頭ドイツ教育学関連文献調査について大学業務の関係から先送りしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
国内所蔵の関連文献調査を早急に行う。
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