研究課題/領域番号 |
25381065
|
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
加藤 崇英 茨城大学, 教育学部, 准教授 (30344782)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 学校評価 / 第三者評価 / 経営診断 |
研究実績の概要 |
まず、前年度の理論文献を中心とした研究・検討を継続させ、学校評価モデル・デザインを3つのサイクル(①経営・意思決定サイクル、②情報処理サイクル、③内外アカウンタビリティ調達サイクル)として組み合わせたオルタナティブ・サイクル・モデルとして捉えることで開発を進めた。 さらに学校現場の協力を得て、検証的な研究を進めた。報告者は、茨城県における「学校における業務改善事業」に指導・支援者として係わってきたが、そのモデル校でもある公立中学校に、本研究の提示するモデルに関して実践協力をいただいた(仮名S中。平成26年6月現在、生徒数447名、13学級、教職員41名。平均的な中規模校を選定した)。報告者はS中の評価フィードバックモデルのうち、今回の実践で以下の点で研究協力を得るかたちで関与した。上記モデル、②情報処理サイクルについては、ペーパーレス会議の導入、ICTを活用した授業実践に取り組むなど、ICTによる学校全体の改善を進めており、これらの改善に関与した。また、③内外アカウンタビリティ調達サイクルについては、S中は、年3回の教育連携会議を開催している(学校運営協議会ではない)。さらに、ここに今回、第三者評価診断を報告者が行うかたちで関与した。 わが国では、学校の第三者評価は実施が推奨されているが、実施義務に関しては法定化されていない。だが、自己評価を充実したものとするためには学校関係者評価のみでは十分ではないと考える。第三者評価は財政面で高コストであるために義務化されていない。よって、今回、単独による低コストで実施し、自己評価ならびに学校経営そのものの支援を目指した。すなわち「単独評価者による低コスト外部評価診断モデル」を学校の評価フィードバックの新たなモデルとし、学校アカウンタビリティに視するシステム構築とするものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論的な研究に関しての文献検討として、リーダーシップ研究に用いられている評価フィードバックに係わる理論や知見の整理(リーダーシップ研究の選集であるShamir, B. ed. (2014) Emerging approaches to leadership, Vol. 1-4を用いた文献検討など)を進めた。 加えて上記の公立学校を理論検証の実践的なフィールドとしてモデル実践の協力を得ることができた。その結果については、予定通り、S中の管理職に報告し、意見交換を行った。さらに、その他の教職員に対する報告会も行い、意見交換をすることもできた。 また、いじめ問題を例に学校アカウンタビリティと学校評価システムの問題について検討を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
上記のS中における研究を報告としてまとめ、モデル構築を進めると共に、ここに教育委員会を加えたかたちのモデルとして提示できるように検討する。これまで進めてきた文献による理論研究において想定されるモデルに対して、学校・教育委員会の協力によって、実際の現場において活用しうるモデルを加味し、両者の折り合いをつけながら、統合することで新たな学校の評価フィードバックを構築する。以上について、学会等における発表及び報告書によって報告することで提案する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
公立中学校における外部評価診断の実践研究に際して、インタビューを行ったが、年度末のために、その記録(テープ起こし)に係る学生アルバイトの予定が調整できなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
公立中学校における外部評価診断の実践研究に際して実施したインタビューについて、この記録のテープ起こしに係る学生アルバイトを調達し、謝金として支出する計画である。
|