研究課題/領域番号 |
25381066
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
清水 一彦 筑波大学, 副学長 (20167448)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 単位制度 / 大学 / FD / GPA |
研究実績の概要 |
本研究は、日本型大学単位制度の再構築に向けた政策提言を行うことを目的としている。本年度に得られた知見は、以下のとおりである。 (1)わが国の大学単位制度の形骸化、硬直化の背景として、①カリキュラム観の固定化、②教授法の硬直化、③研究業績中心主義の人事制度、及び④単位制度の誤用があることを明らかにした。(2)とくに単位制度の誤用については、フィクションとしての単位計算方法の採用をはじめ、質的観点の欠如、FDやシラバスなどのサブシステムの機能不全があることを明確化した。(3)これまであまり明らかにされなかった単位制度と責任性に関して、多様な学修選択やや学修方法を保証している「学生の責任性」に加えて、学生の学修成果を同一にする「教員の責任性」が存在することを明らかにした。 (4)単位制度の問題点については、これまで多くの先行研究で指摘されてきたが、その効用性については言及が少なかった。こうした状況を踏まえて、単位制度の原理・原則をあらためて明確化し、「経済性・効率性」、「多様性・柔軟性」、「個性化・自律性」の3大原理を抽出した。(5)「学習」と「学修」との概念の相違性を指摘するとともに、昨今の大学教育改革において大きな課題になっている学生の主体的な学びとしての「能動的学修」の考え方や有り方を明確にし、単位制度と能動的学修との密接な関係性を明らかにした。(6)日米比較の観点から、とくにわが国の大学単位制度の構造的・核心的な問題点の指摘と、日本型大学単位制度の政策提言は次年度の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初設定した課題については、資料文献研究や聞き取り調査等によってほぼ達成することができ、その成果は日本教育制度学会大会(高知大学)や公開シンポジウム(筑波大学)で発表することができたから。
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今後の研究の推進方策 |
資料文献の収集や整理はかなり進展しているので、今後はさらに多くの関係者からの聞き取り調査や海外調査も含めて推進していきたい。また、成果の学会発表も継続していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた研究計画のうち、海外調査が先方の大学教授との日程調整がうまくいかず 断念したため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究計画の中に、前年度実施できなかった海外調査研究を組み入れることとした。
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