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2014 年度 実施状況報告書

国立大学誘致運動と地元負担―「地方利益」としての国立医科大学

研究課題

研究課題/領域番号 25381067
研究機関筑波大学

研究代表者

大谷 奨  筑波大学, 人間系, 教授 (70223857)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード国立大学 / 医学部 / 医科大学 / 設置者負担主義 / 地方利益 / 地元負担
研究実績の概要

本年度は、佐賀医大、大分医大、高知医大、山梨医大といったいわゆる4期校、5期校についての、誘致から新設までの地方及び地方政府の動向について把握することに努めた。
このうち、佐賀、高知、山梨については、主として地方新聞および、地方議会の議事筆記録を収集分析することで、他県よりも早期に開学することを目指して誘致運動が過熱していった過程を明らかにすることができた。また、大分については、大分県文書館における公文書検索の結果、多くの医大誘致関係の文書を渉猟することができたのは大きな成果であった。現在、文書の分析に取りかかっているが、誘致成功後に、校地の貸与や教職員住宅の提供といった地元負担を求める文部省と、地方財政法の建前上それに応じないようにと指導している自治省との間で、県としての判断に難渋している様子が窺え、またその扱いを同期の新設医大の設立県どうしで協議していることなども明かとなり、誘致運動の内実に接近できる資料を発掘したのではないかと期待している。
これらの作業に並行して、国立公文書館に所蔵されている文部省大臣官房総務課記録班分類文書から、医大設置関係の簿冊を閲覧し、必要と思われる箇所の特定と電子媒体への複写申請を開始した。この作業によって、少なくとも開学当初はほとんどの新設医大の敷地が県所有地の貸与によって確保されていたことが明らかとなった。上記大分県の資料と並び、地元負担の一端を示す資料を確保したといえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

概要で示したように、大分県文書館において医大誘致関係のまとまった行政資料を発掘できたため、文部省の要請への対応や地元負担の内実についてある程度の解明が期待できる水準となっている。
一方、国立公文書館での文書収集は、審査を要する文書が多く、また文書開示まで時間を要するとの通知をうけたため、予定通りの閲覧を完了することができなかった。

今後の研究の推進方策

最終である本年においては、従前、旅程の関係で留保していた宮崎医大誘致過程を確認するための調査旅行を行い、2年間で収集した情報とのすりあわせを行い、研究目的である、地元負担が自明となっていった経緯の解明とそれを支えていた地域住民や地方政府のメンタリティの解明を目指す。
また、今回の成果については本年度秋に開催される日本教育制度学会において発表したい。

次年度使用額が生じた理由

今回国立公文書館で閲覧と複製を試みた文書の大半は、要審査の文書であった。通常審査は30日以内で完了されるべきところ、国立公文書館館長から、「利用請求に係る特定歴史公文書等が著しく大量にあり、その審査に時間を要」す旨通知を受け、閲覧可能な状態になるまで相当の時間を要した。そのため今年度中には複製箇所を確定するにいたらず、したがって複製物作成に対する支払いが発生しなかった事による。

次年度使用額の使用計画

上記の通りなので、未使用額については、もともと予定していた複製物の作成に要する費用に充てることとしたい。

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公開日: 2016-05-27  

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