本研究では、ベルリンにおける就学前施設(幼児教育施設)の取り組みを考察し、その特徴を検討した。具体的には、「ベルリン陶冶プログラム」と、そのプログラムの導入による就学前施設の改革の状況を道徳教育の視点から明らかにした。その結果、「人格の発達」の名のもとに、一定の秩序に裏づけられた子どもの遊びや活動全体の中に、潜在的で間接的な道徳教育の実態が明確となった。その成果は、幼児期を「道徳性の芽生え」として捉えるだけの我が国の教育界に対して警鐘を鳴らすものである。 なお、公表については、研究成果として、『筑波大学道徳教育研究』第16号(2015年)、日本道徳教育学会第86回大会(2015年)等がある。
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