日本の教育委員会制度改革をめぐっては、政治と行政、一般行政部局と教育行政部局、という二つの関係性で、首長の関与をどう位置づけるかを検討した。 2015年4月に施行された「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の改正により首長の権限は強化されたが、それ以前の体制でも、佐賀県武雄市のように住民代表性を背景として首長が教育政策の主導権を掌握することは実質的に試みられていた。またアメリカ・シカゴにみられるような教育委員会自体の性格変容によって、独立性を原則とした教育行政の自律性が組み替えられうることを確認した。また、独立性の原則を緩和し、政治主導の教育政策を進める中では、教育・教育行政の民営化が推進される傾向にあることを明らかにした。
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