研究課題/領域番号 |
25381075
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
柳澤 昌一 福井大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (70191153)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 社会教育関係職員 / 省察的実践 / 専門性形成 / 専門職教育 / コーディネーター / コミュニティ学習支援 / 長期実践研究 |
研究概要 |
[本研究の目的]本研究では、地域の学習支援者の実践力とその形成過程を、実践者からの聞き取りと記録によって探り、実践力形成を支える要因・条件の解明し、実践的方策と組織を提起することをめざしている。多様な専門職の力量とその教育過程をめぐるD.A.ショーンの研究(省察的実践)と専門職学習コミュニティの研究が理論的枠組みとなる。 [研究実績] ①社会教育関係職員の長期にわたる実践の歩みを協働して探り記録化する取り組み:社会教育職員の力量形成をめざす長期研修(福井大学履修証明プログラム「学び合うコミュティを培う」)を通して、福井市・越前市の公民館主事の長期にわたる実践の歩み協働的な聞き取りと記録化の取り組みを組織的に進めている。この跡づけによる記録は、報告書としてまとめ刊行した。②聞き取りと実践記録に基づく、力量形成の条件をめぐる検討:聞き取りと記録化を踏まえ、実践的な力量形成過程を探るとともに、その力量形成を支える条件について、検討を進め、その成果について日本社会教育学会研究大会および日本社会教育職員養成協議会の研究会において報告を行った。③理論的枠組みについて検討 ショーンの著書の翻訳:理論的な枠組みの基盤となるドナルド・ショーンの省察的実践、および専門職の実践的力量形成を支える教育のあり方についてThe Reflective Practitionerに続く著書 Educating The Reflective Practitioner(1987) の翻訳をめぐる取り組みに参画し、第1章・7章・終章の翻訳を担当して行うとともに、全体の監訳に当たっている。この取り組みについては、近い中に刊行することを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①社会教育職員の長期にわたる実践の歩みを協働して探り記録化する取り組み:福井市・越前市の公民館主事を中心として、実践の歩みを跡づけ共有し記録化する取り組みが重ねられ、すでに3冊の報告書に、50を超える長期的な実践の展開がまとめられてきている。またこうした実践の交流・共有の機会も、年2回、継続的に進められ相互的な検討が重ねられてきている。 ②聞き取りと実践記録に基づく、力量形成の条件をめぐる検討:実践的な力量とそれを支える組織について、実践者の取り組みと、理論的な枠組みの検討の双方を通して検討を進め、日本社会教育学会・日本社会教育職員養成協議会での研究協議の場で報告を行っている。実践と省察のサイクルの持続的な展開、その相互交流の場の組織化、事例研究を通した組織的な研究、実践の長期展望を支える組織的条件等、力量形成のための要因が析出されてきている。 ③理論的枠組みについて検討 ショーンの著書の翻訳:理論的な枠組みの基盤となるドナルド・ショーンの省察的実践、および専門職の実践的力量形成を支える教育のあり方についてThe Reflective Practitioner(1983)に続く著書 Educating The Reflective Practitioner (1987)の翻訳をめぐる取り組みが進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
①社会教育職員の長期にわたる実践の歩みを協働して探り記録化する取り組み: 福井中心に進めてきた実践経験の展開についての跡づけをさらに下記のように展開する。・三十年を超える実践経験を有する実践者の歩みについての協働の跡づけ・福井以外の地域における実践者の実践経験の積み重ねについての跡づけと交流 ②力量形成の条件をめぐる検討:福井における実践者の実践・研修の状況と、他の地域における状況とを比較検討することを通して、これまで析出してきた要因の作用について、さらに検討を進める。日本社会教育学会 プロジェクト研究とも連動しながら、東京・岡山・北海道等における社会教育職員の実践と研修の展開とその条件の検討を進め、比較する。 ③理論的枠組みについて検討 ショーンの著書の翻訳:ショーンの Educating The Reflective Practitioner (1987)の翻訳の刊行への取り組みを進めるとともに、ショーン以後、専門職教育改革の現段階についても問いを進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
①物品費については、発注したノートパソコンについて、需要に生産が追いつかない状況が発生し、大幅に納入が遅れ、支出が年度を超えてしまうこととなった。4月には納入され、支払いも済まされた。②旅費については、旅費を要する聞き取りが次年度にずれ込んだこともあり、平成26年度に繰り越すこととなった。③平成26年度に進められた実践のあゆみに関する記録は、年度末までに記録の集約がなされているが、印刷は年度を超えることとなった。平成26年6月までに刊行する予定であり、「その他」および「人件費」の予算の大半がその印刷・編集に当てられる。 ①物品費についてはすでに4月段階で予定していたノートパソコンの納入があり、支出された。②旅費については、東京・岡山等の実践者を福井に招き、福井の実践者とともに実践のあゆみの協働の聞き取りを行うことに支出される予定である。6月と9月を予定している。③平成25年度中に行われた実践のあゆみについて記録化について、それを報告書として編集・刊行するために、編集補助・印刷費等を支出する予定である。
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