コミュニティの状況が変化する中で、コミュニティ、そして私たち自身の状況・課題・可能性を探る学習が求められている。そしてそうしたコミュニティにおける学習を支えるコーディネーターの役割の重要性が高まってきている。しかしそうしたコミュニティにおける学習コーディネーターの役割は複雑であり、これまでの技術的エキスパートの専門職モデルは適用しがたい。ドナルド・A・ショーンの省察的実践者という新しい専門職モデルこそが、コミュニティ学習コーディネーターに適合的であるとともに、それはこの変化する世界における専門職全体のモデルでもある。ショーンが指摘しているように、省察的実践者としての力量形成においては、実践・省察、そして再構成の持続的なサイクルが必要となる。今回の研究プロジェクトにおいては省察的実践者の長期にわたる力量形成の歩みの跡づけを進めてきた。この跡づけを通して、省察的実践者の力量形成を支える以下のような要因・条件が明らかになってきた。 ①実践と省察の持続的、再構成的に積み重ねられていくこと ②省察的なコミュニケーションが実践の中に、また実践を主題として展開されること③そうした省察的コミュニケーションを重層的に発展させていくための組織化④実践の長期的経時的プロセスをめぐる省察的記述 コミュニティ学習コーディネーターの省察的実践者としての力量形成を支える学習を組織するためには、上記の4つの要因・条件を持つ組織学習を実現していくことが必要となると言える。
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