研究課題/領域番号 |
25381090
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研究機関 | 東京福祉大学 |
研究代表者 |
関口 はつ江 東京福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (10048845)
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研究分担者 |
中山 智哉 九州女子大学, 人間科学部, 講師 (00465907)
岡野 雅子 東京福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (10185457)
音山 若穂 群馬大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (40331300)
太田 光洋 和洋女子大学, 人間・社会学系, 教授 (60248664)
首藤 美香子 白梅学園大学, 子ども学部, 准教授 (60420303)
長田 瑞恵 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 准教授 (80348325)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 放射能災害 / 面接調査 / 保育状況 / 子どもの変化 |
研究実績の概要 |
本研究は、放射能災害による保育環境悪化状況において、保育内容、方法及び家庭生活の変化や保護者の意識等が子どもの発達に及ぼす影響を継時的に追跡調査し、活動制限や保護者の不安の子どもの育ちへの影響を明らかにするとともに、保育実践者との交流によって、課題状況おいて積極的な対策を講じ、保育の意味のとらえなおしをしつつ、日々の充実をはかり、子どもの健全育成の援助をすることを目的として行っている。 26年度は研究開始2年目として、初年度に行った面接調査から明らかになった保育実践状況、子どもの状態、保育者の意識を整理分析して学会発表を行った。さらに災害3年目の状態の面接調査(保育者18名各2時間程度)、小学校入学後の適応状態に関する小学校教員への面接調査(3校6名各2時間程度)、保護者への質問紙調査を実施し、幼稚園生活の変化の影響を調べた。当初の研究計画では初年度の面接調査に基づく質問紙調査実施の予定であった。しかし、保育実践者との研究会を通して、時間経過によって問題点が変化し、保育者や保護者の問題意識の多様化が見られることから、放射能汚染の影響の仕方は、単一ではなく、場所、時間、価値観、他との関係性などの要因を加味した分析が必要であることが考えられ、問題状況の構造的把握を先に行い、仮説を立てた上での調査に変更した。 面接調査内容、調査の自由記述の分析においては、同一資料に対して、客観的尺度(構造)による方法と保育者による内省的方法の2方法の分析を試み、浮かび上がる問題点の質の違いから、保育研究の手法についても研究目的に加えた。すなわち、保育一般において、保育目標、保育形態、保育者の保育観により保育評価が異なることに対する研究資料になると考えている。これらの研究成果は27年度に発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
25年度の聞き取り調査をもとに、福島県内の保育所、幼稚園への質問紙調査により以下の点を検証する予定であった。子どもの発達に及ぼす災害状況(放射線量と保護者の不安感)、災害時の子どもの年齢、保育内容の変化の程度、保育形態等の要因の影響、さらに、それらの要因相互の関係性を明らかにする予定であった。しかし、26年度当初の保育現場教員との研究会において、保護者、保育者間で問題点が変化し、表面に出にくくなっていること、子どもの問題が出生年によって微妙に変化していること等が語られたため、子どもの変化を長期的にとらえ、出生年による違いが顕在化した時点での調査が望ましいと考え、質問紙調査を27年度実施に変更した。 26年度の子どもの状態の詳細をとらえるために、再度の聞き取り調査を行ったことによって、質問項目の吟味は十分に行えると考える。
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今後の研究の推進方策 |
27年度は次の調査を行い、研究目的を達成する予定である。 1 面接調査で作られた仮説の検証を、質問紙調査によって行う。環境の悪化が子どもの発達に及ぼす影響は一様ではなく、出生時に災害があった場合(母親の不安が大きい)、歩行が可能になり、外遊びの役割が大きい時期での制限、3歳時期を過ぎて外遊びの経験を経た後での制限等、それぞれ異なった影響を与える。環境の回復の子どもへの影響も異なるので、発達の時期にふさわしい経験への考慮が必要であろう。また保育形態による保育者の視点も異なるであろう。 2 戸外活動制限、健康不安環境下での幼児期の生活が小学校生活への適応へにもたらす影響も子どもの成長時期によってあらわれ方が異なることについて、中高学年担当小学校教員への質問紙調査によって明らかにする。 3 保育者への同一面接調査の分析を、研究者による客観的手法と保育実践者による内省的手法の質のことなる方法を用い、それぞれが明らかにしていることを明確化し、保育研究の方法についての資料提供をする。 4 データを総合的に考察して、論文投稿、並びに報告書作成をする予定である。単行本の出版が計画されている。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度予定の質問紙調査未実施のため、調査費用の印刷費、郵送費の残額が生じた。これは27年度に使用予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
質問紙調査用紙印刷費、調査郵送費、調査結果入費を増額し、調査対象を小学校性保護者に広げる予定である。
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