2011(平成23)年3月に発生した東日本大震災では,幼稚園から大学まで728名(死者617名,行方不明者111名)が犠牲となった。本研究では,東日本大震災関連の訴訟を分析し,学校の危機管理体制について考察を行った。 検討の結果,災害発生時の情報収集の徹底,危機管理マニュアルの遵守が損害賠償責任の有無を決定する大きな要素となることが明らかとなった。他方,教員を対象として実施したアンケート調査からは,管理職を含む教員の中にこれら要素についての理解が十分ではない者が一定数含まれているという結果が示された。危機管理体制の構築に当たり,今後,これらの点について研修等の充実が求められる。
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