研究課題/領域番号 |
25381095
|
研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
児美川 孝一郎 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (50287835)
|
研究分担者 |
小野 方資 福山市立大学, 教育学部, 講師 (30569827)
南出 吉祥 岐阜大学, 地域科学部, 准教授 (70593292)
金澤 ますみ 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (80581058)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 高校教育 / 地域社会資源 / 基礎自治体との連携 |
研究実績の概要 |
「課題集中校」と称される高等学校の多くにおいては,学校が有する校内の教育資源を活用するだけでは,学校としての本来の役割を発揮することが困難になりつつある。とりわけ,生徒の「学校から社会(職業世界)への移行」を保障するキャリア支援の役割(キャリア教育)に関して,その困難は深刻である。本研究は,そうした状況を打開すべく,産業・労働・福祉等の領域にまたがる「地域社会資源」と連携し,それを積極的に活用しながら,高等学校としてのキャリア支援の役割の再構築をはかろうとしている高等学校(および地域)の取り組みに着目し,連携の実態や成果,直面している課題等について,総合的かつ複眼的な観点から明らかにしようとした。 調査対象地域としては,山形県長井市および西置賜地域,長野県飯田市および下伊那地域を設定した。必要に応じて,大都市部である大阪府との比較を行った。山形県調査においては,①長井工業高校と地元の長井市および産業界との間に,学校支援の連携のパイプが築かれていること,②荒砥高校と地元の白鷹町の間に,高校存続をめざした新入生の生活支援の連携ができていること,③小国高校と地元の小国町の間には,小中高一貫教育を通じた,高校支援の連携が成立していることを明らかにした。また,長野県調査では,①飯田長姫OIDE高校と地元の飯田市の間に,「地域人教育」をテーマとした連携が進展していること,②阿智高校と地元の阿智村の間に,高校存続を賭けた公設民営塾の設置等,高校支援の連携が成立していることを明らかにした。 これらは,高校が地域社会資源と連携しつつ,その教育力を補強している事例であるが,連携先がすべて地元の基礎自治体である点に特徴があり,大都市部の大阪における高校支援は,府レベルの教育行政や産業行政,NPO等を主体としていることと好対照をなしている。
|