学校統廃合計画が、保護者、住民らの反対で紛争化している兵庫県加東市および京都府京都市京北地区を複数回訪問して、保護者、地域住民、および教職員(退職教員)からの聞き取り調査を行った。小規模校の存続をめぐって、保護者、住民の強い存続要求があり、小中一貫制度の教育的効果などへの不確定性から紛争化していることが明らかになった。 特に、小中一貫校の開設によって統廃合を行う地域の全体的な把握、実態調査を行い、2冊の単著「教育改革はアメリカの失敗を追いかける -学力テスト、学校統廃合、小中一貫」および「小中一貫で学校が消えるー子どもの発達が危ない」にまとめた。 2016年4月からの「義務教育学校制」法制化に向けて、全国の施設一体型小中一貫校の制度的な移行の動向について調査研究を行った。「義務教育学校」に移行するのは全国で22校であり、今後予定している学校は114校であった。その地域的分布や特徴(約3分の1は地域の小規模校)についても明らかにした。 アメリカで大規模統廃合が実施されたシカゴ市を訪問し、学校調査を行った。校長、イリノイ大学の研究者、保護者らにインタビュー調査を行った。また、改革に反対している中心的な学校であるサウシド小学校の教師を招聘し、インタビュー、学習会を行った。新自由主義教育改革の全体像を捉えている教職員組合の教師が運動の中心になっている。
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