研究課題/領域番号 |
25381101
|
研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
内山 淳子 佛教大学, 教育学部, 非常勤講師 (90648081)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 地域活性化 / 文化交流 / 生涯学習 / 社会教育 / 地域の教育力 / 若者宿 / 公民館 / 参加 |
研究実績の概要 |
1、本研究は、三重県の離島である鳥羽市答志地区と中山間部の伊賀市比自岐地区における教育と、2地区間で行われている文化交流活動をとおして、学習と地域活性化について検討するものである。平成25年度には比自岐地区の状況、とりわけ公民館を中心とした学習活動と住民自治活動との関連を調査・報告したことに続いて、平成26年度は答志地区調査を中心に行った。若者宿の文化が残る答志地区で青年期を過ごした経験が成人期以降の「対人的信頼感」と「共感性」に与える影響を、答志地区と同市内他地区の成人を対象とした質問紙調査を行い、比較検討した。 2、7月にフランスで行われたthe 28th International Congress of Applied Psychologyの教育部門に於いて、民俗文化として存続している寝屋子(若者宿)の教育的意義と、上記1の調査報告を‘The psychological characteristic of personal relationships in a district that have custom the foster parents in neighborhood care for youths’と題して発表を行った。発表後の討議では、海外でも地域における教育機会は減少傾向にあるとして、若者宿の慣習は学校教育のプログラムに参考とされているかとの質疑が出され、日本での通学合宿の実践を挙げて現在の学社連携プログラムを紹介した。 3、並行して、両地区の地域づくり実践と2地区間の交流活動に関して、通年の行事参加・文献収集を継続している。比自岐地区では児童数減少のために休校となっている小学校を市民参加型行事に活用する機会が増えており、地域に新たな活気が生まれている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1、研究計画では、2地区それぞれの教育と地域文化ついて検討した後、交流活動の進展経緯をたどる予定としており、平成26年度は主に答志地区調査を実施した。答志地区においては、これまでにヒアリング等の質的調査手法によって当地の若者宿(寝屋子)の慣習による青年期の人間形成や地域活動の歴史を検討してきた。平成26年度はあらたに答志地区と他地区の成人を対象とした質問紙調査・分析を行い、若者宿の文化をもつ地域で育った青年期の経験が成人期以降に与える影響について、経年比較の観点から考察することができた。 2、7月には国際発表の機会が得られ、1の調査結果と併せて、日本の地域における伝統的な教育文化の一端と、昨今の教育環境の変化を紹介することができた。 3、通常の答志・比自岐地区の地域行事や交流事業についても、双方の方々の協力を得てヒアリングや関連文献の収集を続けており、進展状況を把握している。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度は課題研究の最終年度となるため、研究対象としている答志・比自岐地区について以下の内容をまとめていく。①2地区の社会的背景、教育文化の伝統、学習活動、②それらが継承されてきた経緯と特徴的な方法、③2地区の交流活動の開始要因と進展状況、④交流活動が双方の地域活性化や学習活動にもたらす効果に関して、これまでの調査研究内容を記述する。当該地域の実践が他の地域づくり活動にも活かされる視点を交え、考察を行っていきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は活動実践の参与観察・質問紙調査・学会発表を行ったが、得られた知見を資料としてまとめることを次年度に繰り越すことになり、残高が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、現地調査と文献検証を進めながら、2地区の文化的背景と継承の経緯・地域活性化の状況・文化交流活動の進展と成果等に関して、これまでの調査結果を記録した資料集を作成するために使用する予定である。
|