研究課題/領域番号 |
25381101
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
内山 淳子 佛教大学, 教育学部, 非常勤講師 (90648081)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 文化交流 / 地域活性化 / まちづくり / 住民自治 / インフォーマルな教育 / 公民館 / 体験活動 / 六次産業化 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、答志地区・比自岐それぞれの地域におけるインフォーマルな教育と現在の地域活動に関する検討を続けるとともに、2地区の住民によって行われている「海と山の文化交流活動」に参加して現地調査を行った。とくに2005年度から継続している交流事業の展開経緯に関して整理を試み、結果を学会等で報告した。交流事業の内容を大別すると、①伝統的祭事や地域おこし行事など無形文化に関する文化交流活動、②子どもの体験活動に関する教育交流活動、③産業振興に関する経済交流活動に分類することができる。それぞれの活動が事業開始時から今日まで継続し、今年度も質的に発展を遂げていることが確認できた。たとえば、①の比自岐地区の地域行事(比自岐コスモス祭り)では答志地区の海産物の紹介が欠かせない企画となっており、28年度は答志・比自岐両地区の住民ボランティアにより新鮮な伊勢海老の味噌汁がふるまわれた。実施場所として学校統廃合のため休校中の比自岐小学校を活用し、校庭と体育館では近隣地域の文化や食の発表が行われた。②子どもたちもこれらのイベントに参加し、本年度は有志の学校教員も引率して協力していた。③に関しては、女性住民スタッフを中心として、2地区の食材を用いた加工食品が作られている。現在は試作から販売段階に入り、六次産業化が進んでいる。このような研究成果について、平成27年11月に日本生涯教育学会での口頭発表を行った。また、平成28年2月には研究対象地である答志地区および比自岐地区公民館において、これまでの調査研究経過を報告する機会をいただき、報告会実施後には参加者からアンケート方式で文化継承や交流事業等に関する意見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①対象地である三重県鳥羽市答志地区・同伊賀市比自岐地区において現地調査を継続し、当地の文化・産業・教育への理解が深まった。毎年恒例のように見える年中行事も各年に変化があり、新しい参入者の尽力もみられた。事業への参加者が固定的にならず広く理解を得ることは地域づくり活動の最重要課題である。 ②本題について学会発表を行い、別途調査地でも研究経緯の報告を行なった。当事者からフィードバックされた意見は貴重であり、今後の研究に参考になる。 ③現時点までの調査により交流活動の発展経緯が明確になってきており、本事例を地域活性化の方策の一つとして一般化する視点でも検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
研究対象である交流活動は継続しており、コミュニティビジネスへの発展など予想以上の進展がみられる分野もある。本年度を一旦の区切りとして対象地区の活動経緯と成果等について検討する。27年度は学会発表および現地での口頭報告に留まったため、28年度は文書でのまとめを行っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は活動実践の参与観察・質問紙調査・学会発表を行ったが、得られた知見を資料としてまとめることを次年度に繰り越すことになり残高が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
現地調査に係る旅費および学会参加に係る旅費に支出が生じる予定である。また、これ迄の調査で得られた結果(研究対象地の文化、地域づくりと学習活動の歴史、住民による交流活動の進展状況等)を収録した報告冊子を作成するための経費が生じる予定である。
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