本研究は三重県内の離島答志地区と山間部にある伊賀市比自岐地区の住民により行われている「海と山の文化交流活動」を対象として、その発展経緯を調査したものである。交流活動は2004年の市町村合併によって発足した伊賀市の住民自治施策の一環として開始され、12年間の交流では①伝統的祭事や地域おこし行事に相互参加する文化交流、②子供達が異文化を体験する教育交流、③産業振興に関する経済交流の各面で発展を遂げていた。これら活発な地域活動には住民の協力・リーダーシップが不可欠な促進要因であり、協力体制自体が地域で育まれた文化であること、異文化に触れることで地元文化を見直す機会にもなっていることが明らかになった。
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