本研究の目的は、チャータースクール(以下CS)及びオーソライザーを研究対象として、公教育体制の可能性と課題について実証的に検証することを通して、オーソライザーの適切なモデルを開発することであった。その目的を達成するために平成27年度に行った研究、及びその成果は主に以下の三つである。 第一に、平成27年9月にルイジアナ州とミネソタ州の複数のCSやCSを管理運営するオーソライザーを訪問し、インタビュー調査などをした。そして、この調査結果は、第二、及び第三の研究成果に結びついている。 第二に、平成27年10月31日に開催されたアメリカ教育学会第27回大会シンポジウムにおいて、「アメリカにおけるチャータースクールの挑戦」というタイトルで研究代表者である湯藤定宗が発表を行った。結論の一つとして、CSは学校選択制度の一形態であることから、当然のことながら学校間競争が生じる。その際に、CSを管理運営しているオーソライザーの役割が重要な意味を持ってくることを事例を通して明らかにした。 第三に、本研究の3年間の成果として、2名の研究分担者と共に報告書「チャータースクールによる公教育体制再構築に資するオーソライザー・モデル開発の研究」を作成したことである。本報告書では、ミネソタ州とルイジアナ州に所在する複数のCSへの訪問調査、及びオーソライザーへのインタビュー調査に基づき、オーソライザーによるCSの管理運営の実態、及びオーソライザーとしてどのような権限などを有することが適当か等について、一定の知見を提出した。
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