研究課題/領域番号 |
25381104
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
坂井 康子 甲南女子大学, 人間科学部, 教授 (30425102)
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研究分担者 |
岡林 典子 京都女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30331672)
志村 洋子 同志社大学, 付置研究所, 研究員 (60134326)
山根 直人 国立研究開発法人理化学研究所, その他部局等, 研究員 (60550192)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 乳幼児の音声 / 歌唱様音声 / 自発的歌唱 / 音響分析 / 保育士・教員養成 / 音楽教育 / わらべうた / オノマトペ |
研究実績の概要 |
26年度までに分析した乳幼児の歌唱様音声に関する研究をさらに進め,「うた」であると聞こえることの音声的特徴として,韻律的特徴に加え音響的特徴について分析をおこなった。これまで「3音音声」の聴取調査に基づく研究によって,「うた」は「ことば」と比較して,音声長が長い(定常に延ばされている),また末尾が上がることが多いという結論を得ていたが、「おかあさん」と発声している音声を用いた聴取テストの分析においても,うた評価の高い音声は相対的に短い機嫌良の範疇にありながら長い音声であり,「おかあさん」の語アクセントが下降しているにも関わらず,末尾の上昇傾向を含んでいた。これらにより,本研究において,歌うことと引き延ばし,末尾の上昇は関わりが大きいことを明らかにすることができた。 これに加えて,ラウドネスとシャープネスの関係を音響分析した結果から,機嫌の悪い「おかあさん」と発声している音声は,機嫌良く「おかあさん」と発声している音声と比較して,①スペクトル変化が顕著である,②高い周波数成分が比較的多く含まれている,③周波数成分が重層的に現れている,また④シャープネスがラウドネス増大時に相対的に高いという特徴を持っていることを明らかにした。 これらの研究により、音声の感情性を音響的に示す手がかりを得ることができたと考える。 これまでの研究結果を保育士教員養成に生かすために昨年度から実施している「わらべうた」実践や絵本のオノマトペを表現に発展させる実践は、継続しておこなっており、この実践から得られた、ことばのリズムと身体表現の関係における問題点などについて発表をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
乳幼児の歌唱様音声の韻律的・音響的特徴に関する研究成果をまとめることができた(ベビーサイエンス15号など)。また子ども自発的な発声や歌唱を生かした保育・教育をおこなう実践(わらべうたとオノマトペを用いた実践)の回数を増やし,これらの映像分析から,実践の有用性と課題を示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果を保育・教員養成に資するため、実践から得られた成果をもとに方法論をまとめる計画を進めている。今後、実践の映像分析を進めて問題点を明らかにし、より良い指導方法等をまとめていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究内容を生かした実践をおこなった結果を発表するために、1年間期間を延長させていただいたため
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次年度使用額の使用計画 |
研究発表のための交通費や発表準備のために使用したい
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