研究課題/領域番号 |
25381114
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研究機関 | 国立教育政策研究所 |
研究代表者 |
本多 正人 国立教育政策研究所, 教育政策・評価研究部, 総括研究官 (90282623)
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研究分担者 |
青木 栄一 東北大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (50370078)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 都市 / 教育行政 / 教育政策 / 教育委員会 |
研究実績の概要 |
新教育委員会制度が平成27年度から発足することになったことを踏まえて,平成26年度中の状況について平成27年1月に実施した調査をもとに,大都市自治体の教育政策環境条件の確認作業を行った。ここからは,多くの場合,教育行政職員は首長部局からの出向者であり,教育行政プロパーにはならないこと,ほとんどの教育長は議会本会議において教育行政方針演説を行っておらず,また教育委員長もこれを行っていないこと,多くの政令指定都市が独自の費用負担で教員を雇用しているが常勤の教員及び栄養教諭を独自に雇用する都市は少ないこと,多くの政令指定都市ではスクールカウンセラーと学習補助員等を独自に雇用しているが,学校事務職員,スクールソーシャルワーカー及び学校栄養職員を独自に雇用する都市は少ないことがわかった。これらの成果は研究分担者との共著で,東北大学大学院教育学研究科研究年報第64集第1号(2015年12月)に掲載された。 また,新規任命の教育長も含めて平成27年度中に在任していた中核市及び政令指定都市の教育長の経歴情報を収集し,教育政策環境条件の再整理を行った。ここからは経歴を明瞭に把握できた教育長のいる政令指定都市では18自治体中12自治体までが教員以外(行政職員等)の出身者であり,7自治体の教育長が教員出身であることがわかった。そして旧五大市はいずれも教員出身教育長のパターンであった。それに対して中核市ではこの比率は逆転し,経歴情報を得られた40市の教育長のうち,高等学校以下の教員出身教育長は29自治体で見られ,教員以外の行政職員出身教育長は13自治体で見られることがわかった このほか都市自治体の予算説明資料等の収集作業を引き続き行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題の申請時においては想定していなかった新教育委員会制度が平成27年度から発足したことにより,自治体によっては教育委員会のガバナンス体制に大きな変更が生じることもありうる環境となった。また同じく平成27年度からは,制度としての特例市が廃止され中核市に一本化されることになり,そのため中核市指定要件にも変更があったこと等から,本研究課題において都市類型の継続性をどのように考慮するかといった点について再検討が迫られることとなり,時間を要した。また,県費負担教職員給与費負担等の政令指定都市への移管は平成29年度からとされているところであるにも関わらず,本研究課題による情報収集,各種ヒアリング等によれば,平成28年度になって各種制度づくりに着手する都市が大半であることがわかり,この点も本研究課題にとっては予想外の状況となった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題のうち,新教育委員会制度,特例市制度の廃止(中核市制度の変更)及び政令指定都市への県費負担教職員給与費負担移管等の影響を考慮するため,平成26年度の状況に関してデータ収集をしたところである。今後はこのデータ及び調査によって明らかになった知見を踏まえ,都市の教育行政管理の諸相のうち,平成27年度中に十分なしえなかった時間管理及び空間管理の側面に関する分析を進める予定である。 なお,その際,スクールソーシャルワーカー,スクールカウンセラー,学校事務職員といった教員以外の教職員の活用方策を含む「『次世代の学校・地域』創生プラン」(平成28年1月)が新たに策定されたこともまた,本研究課題にとっては想定していなかった新たな教育政策環境の変動要因にもなることが予想され,この点を考慮すれば,研究手法や時期の細部については多少の変更等がありうる。
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次年度使用額が生じた理由 |
政令指定都市等への内々の情報収集により,多くの政令指定都市で県費負担教職員給与費負担の移管に関する準備作業がほとんど進展していないとの情報を得たことにより,訪問調査計画の見直し等をせざるを得なかったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
近隣の政令指定都市又は中核市等への訪問調査等に使用する予定。
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