本研究は、2010年代の日米の歴史教科書の内容分析を行い、そこにナショナリズムがいかに表現され、共生概念とはどのように関連付けられているのか、あるいは差異化されているのかを探索した。また併せて、多文化教育論・多文化社会論の動向の把握と分析、並びにナショナリズムと共生に関する社会意識の探索を行った。 学校教育は国民統合の装置であるという点においてナショナリズムを帯びるが、近年の社会的多様性の高まりのなかでは、より広く共生を促す場ともなっている。両概念の接続の理路を析出することによって、学校歴史教育を通して伝達される社会統合の論理の今日的様相を明らかにすることを、本研究の目的とした。
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