研究実績の概要 |
本研究課題の最終年度となる平成27年度は、昨年度までの成果の延長線上に、高度複雑化が進むこれからの大学マネジメントを担う人材(大学職員)を「ホワイトカラー総合職」として明確に位置づけた。それは「特定の狭い領域に特化したスペシャリストではなく、高度の専門組織や専門家の力を借りて積極的に協働することによって、自組織が直面する難度の高い問題群の解決や課題群の達成をもたらす、総合職」であり、そのさらなる発展に向けて職員の「成長を促す業務設計のありかたや、そこで実現している学習のメカニズム」を解明することが、重要性の高い研究課題として浮かび上がる(加藤 2015)。この総合職モデルに即して現状を計測することを目的とし、今年度の中心的な作業として、職務内容とそこでの取組み、職場の支援環境、そして高度の専門性を要する複雑な課題への組織的対応などについて、大学職員を対象とするインターネット調査を実施した。主要な結果は、以下の通りである。 1, 一般職員や初級管理職の職務内容について見ると、定型作業や軽度の習熟業務が中心となっており、長期の勤務経験を積みあげてもこの状況はかわらない。 2, そこで行われているのは先例への追従ではなく、小さな改善活動(ミニプロジェクト)が積極的に実施されている。 3, ただし、プロセスの抜本的な見直しや新たな価値提案が求められる難度の高い取組みは少なく、自身の成長に伴い高難度の仕事を積極的に求める者もあまりいない。 4, 高度の専門的知識やスキルを要する継続性のある課題への組織的対応についてみると、専門職に依存せずに従来の組織によるプロジェクトとして対応しているケースが60%に達しており、管理職に限定するとその比率はさらに高くなる。 5, 現場で展開されているプロジェクトのスタイルは、いわゆるPMBOKとは異なる(対照的な)性格を有している。
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