研究課題/領域番号 |
25381139
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
樋田 大二郎 青山学院大学, 教育人間科学部, 教授 (80181098)
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研究分担者 |
沖塩 有希子 千葉商科大学, 商経学部, 講師 (50617917)
西田 亜希子 京都精華大学, 人文学部, 講師 (70554319)
岩木 秀夫 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (90114389)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高校 / 進路形成 / 地域 / 社会関係資本 / ライフヒストリー / コーディネーター / 地域活性化 / 人材育成 |
研究概要 |
パイロットサーベイで得られた地域人材育成の背景と求められる地域人材像をもとに、(1)先行研究のさらなる検討、(2)高校による地域活性化の取り組みについての資料収集と聞き取り調査、(3)地域イノベーター・地域リーダー対象のライフヒストリー調査を行い、得られたデータに対して、社会関係資本研究の枠組みから分析を行った。 (1)経済合理的な人間像のみでなく、地元学・地域学の視点を取り入れた「若者、よそ者、ばか者」の地域人材像を取り入れている。(2)経済学的価値と教育学的価値を融合させる方法であるところの社会関係資本研究の枠組みを採用して、産業立国の研究枠組みを越えた地域人材育成研究枠組みの構築を試みている。(3)地域人材育成の学習指導と進路指導を基礎づける理論を研究している。(4)研究手法・方法では、進路形成研究にライフヒストリー研究を用いる。この手法によって地域人材の内的意味世界を検討し、従来の経済合理的な人間像とはことなる人間像に基づいた研究が可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定数を超えて3つの県の離島中山間地域の高校14校で訪問聞き取り調査を行った。訪問聞き取り調査と先行研究の整理で、産業面、社会面で地域のイノベーターやリーダーとして以下のタイプの地域人材が求められていることが分かった。①既存の地域システムに必要なエリート(医療関係、福祉関係、教育関係など)、②地産地“商”の田舎起業家(巡りの環『僕たちは島で未来を見ることにした』、③「若者、ばか者、よそ者」モデル(山内道雄『離島発生き残るための10の戦略』)、④あるもの探し屋(吉本哲郎『地元学をはじめよう』)、⑤意識覚醒のコーディネーター(ロバート・K・グリーンリーフ『サーバントリーダーシップ』)。 また、訪問聞き取り調査では、予想外に授業内および課外での地域活性化を題材にした学習が活発に行われていることが見いだされ、町の行政、住民がそうした学習の重要な資源となっていることが分かった。今や地方郡部では、「町存続の生命線としての高校存続。町活性化の前線としての高校活性化」となっている状況が明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでにラポールのある高校14校の生徒及び高校を支援する地域住民を対象に参与観察と質問紙調査を行う。 <(1)地域活性化プロジェクトの訪問調査>研究会がフィールドとしている3県において、高校の取り組み事例についての聞き取り調査と資料収集を続行する。<(2)「若者、ばか者、よそ者」モデルの検討> 先行研究に紹介されているイノベーターとリーダーを、「若者、ばか者、よそ者」モデルの観点から考察し、マンパワー政策的人間像モデル(や新自由主義的人間像モデル)との比較検討を行い、地域活性化の人間像モデルを精緻化する。<(3)地域活性化の取り組みの訪問調査> 各地の「立志塾」、文部科学省「地域産業の担い手育成プロジェクト」、総務省「地域づくり活動のリーダー育成のためのカリキュラム」などの地域の活性化プロジェクト関係者を対象に訪問調査を行う。現在、6次産業タイプ、グリーン・ライフタイプ、工業タイプ、地元学タイプ、ふるさと活性化タイプ、の各活性化のタイプに分けて調査対象のプロジェクトを選択中である。<(4)ライフヒストリー研究>地域のイノベーター、リーダーへのインタビューを行うともに、対象者が高校時代を過ごした地域・組織への取材も行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定数以上の訪問聞き取り調査を行ったため、訪問聞き取り調査の一部を次年度に実施することとした。 訪問聞き取り調査の経費に使用する予定である。
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