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2013 年度 実施状況報告書

格差社会における高校生の進路保障の研究-オンタリオ州のリスク生徒支援と比較して-

研究課題

研究課題/領域番号 25381143
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東洋英和女学院大学

研究代表者

佐藤 智美  東洋英和女学院大学, 人間科学部, 教授 (80240076)

研究分担者 山村 滋  独立行政法人大学入試センター, その他部局等, 教授 (30212294)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード子どもの貧困 / オンタリオ州 / Pathways / 貧困対策 / 中等教育 / 学習支援 / ドロップアウト / 高等教育機会
研究概要

平成25年度には、カナダ・オンタリオ州におけるPathways to Educationの発祥地であり、そのプログラムが最初に実施されたRegent Parkで担当者からのプログラム内容や実施状況について聞き取りを行った。この聞き取りにおいて、援助を受けている生徒や家族の様子についても情報を得ることができた。Pathwaysの成果は現在国際的にも注目されており、他国からの視察も少なくない。生徒の中等学校ドロップアウト率の改善や高等教育進学者の著しい増加など、短期間における顕著な成果は子どもの貧困削減に大きく貢献していることがわかる。
また、コミュニティ内の教会で行われているボランティアによる学習支援を見学した。生徒の出席率は高く、高学年になるほど、学習に熱心に取り組む様子を見ることができた。生徒の出席は厳しく記録されており、この記録自体も学習支援をかつて受けていた卒業生によって、取られている。
Regent Park Community Health Centreはコミュニティの住人のウェルビーイングを構築、維持するための役割を果たしており、ここでは心身の健康をはじめ、経済的に困難な人々の様々な相談を受け付け、支援を計画する中心的な機関であった。
さらに、ライアーソン大学では、大学の学習支援と学費援助によって、大学教育を受けることが可能になった学生2人に聞き取りを行った。学生たちの生活は充実しており、大学の経済的、学業上のサポートなくしては、現在の自分があり得なかったこと、また将来の選択肢が拡大したことを高く評価していた。
Pathwaysの貧困層の子どもに対するプログラムの効果はオンタリオ州政府にも認められており、政府からは恒久的に財源が提供されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度は3年計画である本研究の1年目として、ほぼ順調に進展しているといえる。研究の要であるカナダ・オンタリオ州におけるPathwaysの活動と成果に関する情報収集に努めた。情報は資料収集をはじめ実際のプログラム実施状況を見学、また関係者からの聞き取りによって収集した。特に、発祥地であるRegent Parkを訪れ、Pathways の事務局、プログラム実施状況、Health Centreを見学することができたのは、非常に有益であった。また、Regent Parkのコミュニティの現在の様子に触れることができたのは、これまで取得していた情報をより現実的に理解することに役立った。
さらに、ライアーソン大学で大学の援助を受けることによって、高等教育を受けることが可能になり、貧困の連鎖を断てる希望を見出すことができたと語る学生に聞き取りができたことは有益であった。

今後の研究の推進方策

今後の研究では、Pathwaysの取り組みとその成果を追跡し、またオンタリオ州政府の貧困対策について知見を深めていく。州政府は貧困の連鎖を断つことを大目標に掲げ、多方面からの支援プログラムを立てている。これらの結果は、毎年出版される報告書において8つの指標の進歩として表されており、政府による自己評価がなされている。州政府関係者に、子どもの貧困対策に関する聞き取りを行うことも考えられる。
また、日本における貧困層の子どもの支援を目的とした政策や様々な取り組みの内容とその成果についても調査をすすめ、分析をする予定である。
日本の国や自治体の政策や取り組みと、民間レベルにおける数多くのプログラムとカナダのPathwaysのプログラムのような家庭、学校、地域を巻き込んだ総合的なプログラムとを比較し、今後の日本の子どもの貧困対策の進歩に向けて示唆を得る。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度の研究計画では、平成26年2月に再度オンタリオ州・トロントを訪れて、子どもの貧困対策についての情報収集、聞き取り調査を行う予定であった。しかしながら、聞き取り対象者と研究者側との日程が合わなかったため、2月の調査は断念せざるを得なかった。したがって、研究費の一部を必要な書籍を購入する費用にあてることになったが、次年度使用額が生じた。
次年度使用となった研究費については、主にカナダ・オンタリオ州における旅費と調査費、そして日本国内における調査に使用する計画である。また、書籍や消耗品にも使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] カナダの子ども・家族貧困対策キャンペーンーキャンペーン2000と子どもの貧困事情―2014

    • 著者名/発表者名
      佐藤智美・山村滋
    • 雑誌名

      大学入試センター研究開発部リサーチノート

      巻: RN‐13‐13 ページ: 1-20

  • [雑誌論文] オンタリオ州のキャンペーン2000と貧困削減対策-貧困削減対策・『連鎖を断つ(Breaking the Cycle)』へ-2014

    • 著者名/発表者名
      佐藤智美・山村滋
    • 雑誌名

      大学入試センター研究開発部リサーチノート

      巻: RN‐13-14 ページ: 1-20

  • [雑誌論文] 『連鎖を断つ(Breaking the Cycle )』の目指すもの-オンタリオ州の貧困削減対策から-2014

    • 著者名/発表者名
      佐藤智美・山村滋
    • 雑誌名

      大学入試センター研究開発部リサーチノート

      巻: RN-13-15 ページ: 1-37

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公開日: 2015-05-28  

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