研究課題/領域番号 |
25381149
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
小針 誠 同志社女子大学, 現代社会学部, 准教授 (90388067)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 私立小学校 / 学校経営 / 学校選択 / 比較教育社会学 / イギリス〈イングランド〉 |
研究実績の概要 |
平成27年度の主たる実績は10月に単著『〈お受験〉の歴史学 選択される私立小学校 選抜される親と子』を講談社(講談社選書メチエ)を刊行したことである。本書は私立小学校の選択、選抜、経営の歴史とともに、イギリス(イングランド)の私立初等教育機関であるプレップスクールとの比較を通じて、日本の私立小学校の特質を明らかにした。なお、本書は全国紙(朝日新聞・日本経済新聞・読売新聞)、共同通信配信を通じて地方紙各紙に書評や短評が掲載されるなど、一定の社会的インパクトがあった。それ以外にも、関連して私立小学校の学校運営に関する歴史研究も引き続き行った。私立小学校のひとつ成城小学校のカリキュラム・マネジメントに注目した「新学校・成城小学校の教育課程の変遷過程(1)開校前後から1920年代初頭を中心に」と題する論文を発表した。それに関連して、大正新教育運動に関する既存の通説を問い直そうとする論文「大正新教育運動のパラドックス」が『子ども社会研究』第21号に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日英比較を意識しながら、私立小学校の選択・選抜や経営問題に関する内容を単著にまとめ、刊行することができた。しかし、課題である各私立小学校の経営状況についてのケーススタディは課題3年目でようやく緒についたばかりであり、残り1年のなかで組織的・計画的に進め、当初の研究目標をを達成する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
私立小学校の誕生の契機のひとつにもなった大正新教育運動の理念と実践、カリキュラムマネジメントについて明らかにし、その研究から、現在進められようとしているアクティブラーニングなどに対する政策的示唆や実践的な課題についても積極的に探求・提示していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
資料蒐集やインタビュー調査を目的に渡英の予定であったが、先方の事情や単著の刊行準備などのため叶わなかった。また、計画していた日本の私立小学校校長や教員に対するインタビュー調査もまた先方の都合で十分に行えなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
長期休暇を利用するなどして、比較対象国であるイギリス〈イングランド〉にて資料蒐集やインタビュー調査を行う。また日本のインタビュー調査についても計画的に実施し、そのための旅費などに当てることで、有効に使用し、研究計画の遅れを取り戻したい。
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