研究課題
平成27年度は、学生の音楽能力のさらなる向上や日本伝統音楽・伝統芸能と西洋の芸術文化との比較考察から導き出される広い視野や思考力、洞察力を身に付けることを目的として体験学習を行い、大きな成果を得た。主な実施内容は次の三点である。1.文献や実践的研究に関する調査とそれに基づく実践、成果発表 引き続き主に実践的研究調査を行い、それに基づいて行った授業実践や体験学習の結果を分析し、その成果を発表した。2.事前・事後学習及びアンケート分析に基づく学習プログラムの再構築 学生の音楽指導力向上を目指した体験学習実施の事前・事後学習、振り返りとディスカッション及びアンケート結果の分析に基づき、学習プログラムの見直しと再構築を行った。3.芸術体験研修の実施 本研究の重要な指針の一つである「『本物』の中で学ぶこと」に基づき、①②のテーマによる見学・鑑賞の芸術体験研修(研修旅行)を行った。①日本の伝統芸能への理解を深める――能の「虫干し」見学と歌舞伎・狂言鑑賞(2015/07/24-26)、②日本と西洋の芸術を体験する(2016/03/11-13)。②の研修はこれまで行ってきた体験学習の総括として位置づけられる。この研修の目的は、主に西洋芸術文化の根底を支える背景や精神について理解を深めることや東西の芸術文化交流について知ることである。学生は、J.S.バッハ《マタイ受難曲》鑑賞を通して西洋キリスト教文化と音楽の深い関わりを知り、狂言《空腕》・能《田村》の鑑賞を通して東西の芸術文化の比較の視野を広げ、イタリア絵画の巨匠、ボッティチェリ、カラヴァッジョ、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品鑑賞を通して、西洋芸術に通底するキリスト教文化への理解を深めた。さらに、東京国立博物館の展示を通して、東西文化交流の歴史も理解し、芸術教育における指導力向上につながる研修となった。このような体験学習を継続的に行う意義についても再確認することができた。
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比喩的な指導言語による感覚の共有と「わざ」の学びモデルの構築
巻: 基盤研究(B)2012-2015年度最終報告書 ページ: 39-51
全国大学音楽教育学会創立30周年記念誌(研究紀要第26号合併号)
巻: 第26号 ページ: 93-102
釧路論集 北海道教育大学釧路校研究紀要
巻: 第47号 ページ: 97-106