本研究の目的は、「PISA型言語力」の解明(教科内容の解明)と、それを有効に子どもたちに身につけさせる教育方法についての解明を行うことである。 27年度~26年度に行ってきた「PISA型言語力」の系統試案を整理し直した。『国語科の「言語活動」を徹底追究する―学び合い、学習集団、アクティブ・ラーニングとしての言語活動』(阿部昇他編著、2015、学文社)などで発表した。 「PISA型言語力」に関わる授業を、2015年7月に行われたNIE大会・秋田大会で複数の教師に新聞を使うかたちで実践をしてもらった。そこでは「PISA型言語力」に関わる教材開発、グループ等を使った探究型授業方法、国語科と社会科のコラボ授業の試みなどを行った。それらをDVDに収録し、丁寧な検討を行った。また、秋田大学教育文化学部附属小学校、附属中学校、秋田県東成瀬村立東成瀬小学校・中学校をはじめとする公立小中学校などで、教師とともに「PISA型言語力」に関わる複数教科の授業研究を行った。教科内容の解明、探究型教育方法の解明がかなりの程度進展した。探究型教育方法はアクティブ・ラーニングと共通する点が多い。 さらに、フィンランド、大韓民国への研究視察を通じて「PISA型言語力」に深く関わると思われる授業を取材した。それを詳細に検討した結果「PISA型言語力」と探究型教育方法の親和性の高さを再確認することができた。 全国学力・学習状況調査の秋田県の結果分析を、秋田県検証改善委員会委員長として秋田県教育委員会の指導主事とともに行った。その結果、秋田の探究を重視する授業スタイルと、特に「B問題」の好結果とは相関がある可能性が高いことが明かとなってきた。それらは『秋田県・学校改善支援プラン』(秋田県検証改善委員会)で一部を公表した。今後、著作としてまとめ発表していく予定である。(2016年7月刊行予定)
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