研究課題/領域番号 |
25381164
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
石崎 和宏 筑波大学, 芸術系, 教授 (80250869)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 視覚イメージ / ことば / コンピテンシー / 美術教育 |
研究実績の概要 |
本年度は研究の第二段階であり、平成25年度の成果をふまえ視覚イメージの喚起から言語活動の多様性につなげる力の指標を開発し、それを使用した調査から児童・生徒における発達的な特徴を分析した。まず、美術的コンピテンシーを測定する尺度開発では、鑑賞スキルを活用した文章作成支援に関するこれまでの研究成果(Ishizaki & Wang, 2011)を生かし、自由連想描画とその物語作り、そして作品鑑賞での分析、解釈、判断を取り入れたワークシート型の調査票を作成した。視覚イメージからの言語化を促す観点としては、絵画作品の隠された部分を想像して描かせた後に作品鑑賞する指導(岩本,1990)や絵をもとにした看図作文の指導(鹿内,2009)などの先行研究の成果と課題を検討した。調査票では、単純な形から視覚イメージをつくり描く力(描画の入念性)、視覚イメージとつなげて思いを多様な言葉にする力(物語の多面性)、見たり知ったことをつなげて考えを組み立て、判断する力(作品判断のレベル)の3つの指標で計量化した。その結果、描画は、6つのパターン(説明的描画、見立的描画、ぬり絵的描画、写実的描画、表出的描画、装飾的描画)に分析された。また、3つの指標間の関係では、描画の入念性から物語の多面性、物語の多面性から美術判断レベルの間で有意な関連が示唆された。つまり、入念に描画した生徒は、物語を多面的に書いた傾向があり、多面的に物語を書いた生徒は、美術判断で高いレベルを示したことが示唆された。なお、本年度の研究成果については、第34回国際芸術教育学会(InSEA)世界会議(オーストラリア・メルボルン市)、ならびに第1回芸術教育研究国際学術検討会(台湾・台北市)で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究目的は、視覚イメージの喚起から言語活動の多様性につなげる力の調査票と指標を開発し、それらを使用した調査により児童・生徒における発達的な特徴の分析を進めることであり、それらを計画的に遂行することができた。また、二つの国際会議で研究成果を発表することができ、研究成果の発表も順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終年度として、継続して児童・生徒における発達的な特徴を分析するとともに、視覚イメージの喚起と言語活動を相互作用的に促す学習プロジェクトの開発と検証を進める。特に青少年を対象とした能動的な美術学習方略の開発では、美術プロセスにおいて視覚イメージを明瞭にしていくことと言葉の多様性を引き出すことに着目し、造形的な見立てや連想行為を通した活動での学習方略を具体化する。また、鑑賞での作品についての考えを組み立てるために、文章生成を効果的に支援するために鑑賞での考えを視覚化し構造化することに焦点化したワークシートと小グループによる協調学習を改良して組み入れる。さらに、美術的コンピテンシーに着目した学習方略の研究成果についての情報発信を進め、フォーラム等の開催を通して本研究の成果と課題について多角的にレビューを受ける。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に繰越額が生じたのは、オーストラリアへの海外出張経費が航空券等の早期予約により当初見込み額より安価に済んだためである。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度においても成果発表のために米国ニューヨーク市への海外出張を予定しており、円安による経費増加が予測されるため、その海外出張経費補充に使用する計画である。
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