研究課題/領域番号 |
25381173
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
大泉 義一 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (90374751)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ブータン / 造形教育 / GNH / カリキュラム |
研究実績の概要 |
本研究は,2013年度よりブータン王国のナショナル・カリキュラムに導入されている新教科゛Art″の導入の経緯と教科内容の詳細および理念を明らかにするとともに,教育現場の受容状況を分析することで,我国の造形教育に対する示唆を得ることを目的とする。3年次の平成27年度においては,①前年度末に実施した現地視察調査(2014年3月3日~8日)の結果を整理するとともに,そこから得られる示唆を考察し,②その考察をふまえて,近く改訂される我国の学習指導要領の方向性との関連性について検討を行った。 ①については,学術論文としてまとめ,平成27年度大学美術教育学会誌「美術教育学研究48号」に掲載された。当論文は,ブータン王国の造形教育に関する継続研究の第三報であり,ブータン王国の新教科“Arts”の概観と教育現場における受容状況を次のように明らかにした。まず“Arts”のカリキュラムは,教科目標を実現するための内容面の系統性と子どもの発達面の系統性とが重視されており,同時に編纂され出版された教科書と合わせて明快かつ具体的な内容表記が特徴となっている。さらにその教育実践からは,子どもの「幸福」という点においてGNH理念と合致することを確認した。 ②については,平成26年11月に文部科学大臣からの諮問に基づき検討が行われている学習指導要領改訂,とりわけ小学校図画工作ならびに中学校美術との関連について検討を行った。その結果,教育課程企画特別部会のいわゆる論点整理に示された「社会に開かれた教育課程」という改訂の根本となる考え方において,ブータン王国のGNHが指し示している「全体性」との関連を見出すことができた。しかしながら,このことについては未だ検討の端緒にとどまっており,ブータン王国のカリキュラム理念に関する文献研究等によって精査していく必要性のあることが確認されている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初研究計画では,平成26年度以降の研究計画として「【Step5】我国の造形教育への示唆に関する考察」「【Step6】成果の公開(シンポジウムの開催/報告書/電子メディア)」としている。本年度はこのうち,【Step5】については,我国の学習指導要領改訂の進捗と関連させて行ってきているために,遅れが生じている。そのため【Step6】にまで十分に到達していない状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
上述した事由により,平成27年度分の研究予算の一部について平成28年度に繰り越しを行った。平成28年度において,上記残された課題について実施していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初研究計画では,平成26年度以降の研究計画として「【Step5】我国の造形教育への示唆に関する考察」「【Step6】成果の公開(シンポジウムの開催/報告書/電子メディア)」としている。本年度はこのうち,【Step5】については,我国の学習指導要領改訂の進捗と関連させて行ってきているために,遅れが生じている。そのため【Step6】にまで十分に到達していない状況である。上述した事由により,平成27年度分の研究予算の一部について平成28年度に繰り越しを行った。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成28年度において,上記残された課題について実施していく予定である。【Step5】については関連する文献からの分析を行い,【Step6】については関係者を招いてのシンポジウム開催,成果報告書の発行を計画している。
|