研究課題/領域番号 |
25381178
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
磯崎 尚子 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (70263655)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 家庭科教育 / 教師教育 |
研究実績の概要 |
本年度、理論的研究として他教科におけるコンピテンシーや教科の文化性、社会性について分析し、家庭科教育への分析の示唆について検討した。また、高等学校における家庭に関する学科の全国実態調査を行った。その結果、昭和62年、平成6年に実施した調査と比較し、家庭に関する学科の数は減少しているものの、食物系に関する学科は相対的に大きな変化は認められなかったことや、職業労働の専門・分化を考えて早期に目的意識を明確にさせる指導の必要性などを明らかにした。そのためには、早期のキャリア教育の充実とともに、家庭科教師の専門性をより深める教師教育プログラムが必要であることが示唆された。 実証的研究として、まず、教材化のための知識に関する質的、量的調査を小学校の若手教師(教職経験10年未満)と熟達教師(同20年以上)に対して実施した。その結果、若手教師と熟達教師には、子どもや授業、教材、指導などに関する意識の違いがあることを明らかにした。次に、小学校におけるエコ・ライフ(衣生活分野)の教材開発を行い、授業実践を行った。その結果、児童が実験・実習やVTR視聴などの活動を通して、プロセスや結果を可視化することで、エコ・ライフについての認識がより深まりやすいことが明らかとなった。一方で、指導及び教材化の視点に関しては、教師が家庭科という教科の本質から子どもの生活経験を考慮し、教材化に際して意図的に子どもに生活を意識化させる必要性があることを明らかにした。さらに、教育実習における教育実習生の意識変容と成長に関して、実習前と実習後の変化を調査・分析を行った。その結果、教育実習校の指導教員の指導が教育実習生の成長に重要な役割を果たしていること、教育実習を通して子どもの学びを少しずつ読み取れるように意識が変容したこと、などを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実証的研究に関して、教材開発やその実践、家庭科を教える教師の実態調査(教職経験経験年数の違いによる調査)は、計画以上に進行している項目がある。データに関しても順調に収集できている。理論的研究に関しては、高等学校における家庭に関する学科については、分析が終わったけれども、それと中学校、加えて小学校との関連性等については、検討中である。特に、家庭科教育固有の文化性については、他教科教育の事例を参考に検討している段階である。
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今後の研究の推進方策 |
連携研究者と協力しながら、これまで蓄積してきたデータを検討し、論文等の形にして公表する。研究計画に従って、理論的研究及び臨床的・実証的研究を遂行する。また、関連する研究領域の研究者(国内に限らず海外の研究者も含めて)などからも意見を伺いながら、新しい視点も取り入れ、研究計画を遂行する。
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