研究課題/領域番号 |
25381181
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
國宗 進 静岡大学, 教育学部, 教授 (50214979)
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研究分担者 |
熊倉 啓之 静岡大学, 教育学部, 教授 (00377706)
大田 春外 静岡大学, 教育学部, 教授 (40126769)
近藤 裕 奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (80551035)
花木 良 奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (70549162)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 数学教育 / 数学科教員養成 / 数学的活動 / 図形教育 / 置換 |
研究実績の概要 |
本研究の目的達成に向けて、実践的指導力育成を重視した数学科教員養成の基本的な考え方とその内容・方法についての検討を、昨年度に継続して進めた。 1. 諸外国での教員養成に関連して イギリスの数学科教員養成については、研究協力者である藤田太郎氏の論文(「英国の数学教育学研究と教員養成」, 日本教科教育学会会誌第35巻第3号, 2012)に基づいて、主としてプリマス大学を事例としてその特質を把握した。そこでは、当該大学の学部段階での算数科教員養成に関しても考察している。また、エクセター大学教育学研究科に関して、訪問調査および文献調査に基づいて、そこでの教員養成における教育研究の柱立てや、大学院での免許取得のためのコース内容等を明らかにした。 また、フィンランドの初等教員免許、中等数学科教員免許取得のためのカリキュラムを文献調査および訪問調査に基づいて把握するとともに、ヘルシンキ大学、タンぺレ大学教育学研究科において当該授業にも参加し、その実際を把握した。そこでは、具体的な題材について、グループでの討論を通して的確な数学指導観の育成をねらっていることが見て取れた。 2. 授業を通した研究も以下のように進めた。大学においては、代数学の授業において、「置換」の内容に関する「パーフェクト・シャッフル」の意図的・実験的な指導を行い、そこでの数学科学生の追究の様子を明らかにした。また、中学校数学科において、文字式による証明、2次関数、図形の相似に関する授業研究を行い、それらに基づいて養成段階の学生の指導観を一層的確にするための内容と方法を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は特に、イギリスとフィンランドの中等学校数学科教員養成、および初等教員養成における数学教育について、訪問調査の結果も踏まえてその柱立てをとらえることができた。たとえばイギリス・エクセター大学教育学研究科における教員養成では、「教科に関する知識、専門的な知識と探究、学校社会、価値や信念、教師スタンダード、学習と発達の理解」を柱立てとして修士レベルの教育・研究が行われている。また、フィンランドの教員養成については、イギリスの場合と同様に、日本と比較して実践研究の方向性が強いことを授業参加を通じて把握した。 また、大学での代数学の授業研究を行い、そこでの学生の意欲や追究の様子を明らかにすることができた。数学、数学教育それぞれを専門とする者同士の議論によって、養成段階における数学的活動を重視した授業例が得られた。さらに、数学的活動が行われる場として幾何教育に焦点化した研究も継続し、その成果の一部をバンクーバーで開催された数学教育心理学会において発表した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たる27年度は、日本で言われている'実践的指導力'と、イギリスやフィンランドにおける学部及び研究科段階での数学科教員養成で目指していることとの双方を視野に入れてその構成要素を分析・検討して、養成段階で育成すべき数学科教員としての資質を明らかにするとともに、その育成を目指す大学での授業における題材と展開を提案する。 また、可能な限り、大学や中等学校での授業研究を行って、そこでの学生の学習の実際を明らかにし、上記提案に具体性を持たせたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
授業研究の日程(授業実施者の予定を最優先して決定される)に合わないこともあって、主として旅費の運用に関して次年度への繰越金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度に会合旅費として使用の予定。
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