小学校生活科の内容(7)「動植物の飼育・栽培」では、継続的な飼育を 行うことを通して生命の尊さについて実感をともなった学びが求められている。しかし、学校週5日制や鳥インフルエンザへの対応などにより、動物が存在する飼育小屋をもたない学校が増えてきた。以上のような実態を受け、本研究では、研究代表者の大学の近隣にある 静岡市立日本平動物園で一部の小学校を対象に行われていた期限付きでモルモットの貸出を、平成25年度より、国内の動物園の学校教育への関与や小学校における動物飼育の先進事例を調査した上で、期限付きのモルモット貸出を再構築し「期限付きモルモット貸出」と「モデル指導計画」をセットで研究協力校に提示し、その教育の効果を検証することを目的に研究を進めてきた。 研究協力校で実践された「ぼく・わたしはモルモットの飼育員」の11の学習活動の後半約10分間に児童が取り組んだワークシートをテキストマイニングの手法を用いて子どもの学習過程の内実を検討した。その結果、本実践は、子ども自身が「飼育員になる」という明確な目的を持った「ごっこ遊び」という体裁をなしており、子どもは「一人前の飼育員」、「かっこいい飼育員」になろうと飼育員ごっこに没頭していった。「ミニ飼育員」であること自覚しながら飼育員ごっこに没頭していく活動場面と、没頭していく自分の姿を客観視する振り返り場面の双方を往還しながら学習活動が展開されたことが明らかになった。 本実践は、命を預かるという点で、単なるごっこ遊びとは一線を画すものであり、ごっこ遊びという体裁はとるもののモルモットの飼育という現実的な体験が保障されていた。このような「リアルごっこ遊び」 という設定が子どもたちを活動に没頭させ、本物の学びに導いていくことが示唆された。 現在、期限付きモルモット貸出事業は順調に機能している。
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