本研究は,小学校高学年ないしは中学校の正課の授業としての美術教育において3DCG制作を教材として実施可能とすることを課題とした基礎研究の一部であり,特に協同学習の手法を援用することによりその指導法を確立することを主な目的とする。また同時に,協同学習の機能の理解を掘り下げることにより,美術教育の表現領域一般における協同学習の機能を積極的に活かした指導法や適した題材の開発を目的とする。本年度は,本研究の最終年度として以下を行った。 ①昨年度までに得たデータを元に,小学生を対象とした当該授業をデザインし,改良し,学習指導案の例として提示した。 ②上記デザインの授業を実施し,小学校の通常の授業として,3DCG制作を題材とした教育活動が十分な教育効果を上げることを示した。 ③上記の教育活動およびそれに至る予備的活動から得られたデータを元に,美術教育における協同学習の機能・効果に関する事項として以下の項目を指摘した。 a) 直接的なコミュニケーションの効果と,間接的なコミュニケーションの効果の二つを分けて教育効果を理解しうること。b) 直接的なコミュニケーションの効果として,以下の有効性が指摘できる。・たずねる-教わる-実感する-他者に教える-新たにたずねるの連鎖・教えたことが有効にはたらいていることの実感・教え・教えられた相手からの率直な評価。c) グループ内で互いの活動を見たり見られたりすることが表現技術の獲得に有効に機能した。
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