研究実績の概要 |
中学校技術・家庭科技術分野では,木材を切断する加工方法としてのこぎりびきが一般的に実施されている。本研究では,生徒の加工技能の上達を積極的に支援する指導方法の確立を目的として,のこぎりびきについて主に以下の3項目について実施した。①のこぎりびき作業時の発生音をマイクロホンで収録し,その時の加工精度,加工効率,作業映像,動力計で測定した力の変動から,作業状態に対応する加工音特性を明らかにした(平成25年度)。②さらに中学生を対象に,比較実験授業を実施して加工音を活用した指導方法の有効性を検証した。(平成26,27年度)。③最後に,本研究で得られた知見および映像と音のデータを基にデジタル教材を制作した(平成27年度)。 その結果,のこぎりびき技能習得に及ぼす加工音の効果は,直進度や直角度の精度の向上は認められないが,切断面粗さに関しては,切断面の粗さが悪い被験者に対して効果が望める。そして,この効果は,理想的な音の強弱やリズムを意識させることで,引くときに加える力が弱まり適切に変化することに起因していると考えられ,引き返し時の力の入れ方の指導に効果である可能性が示唆される結果が得られた。 のこぎりびき音に関する教材は,加工音の時間波形と加工動作(切断力,工具の動かし方)との対応として,適切な切断音として,初心者レベルと熟練者レベルを収録して,さらに不適切な切断として,常に強い力で切断した場合,常に軽い力で切断した場合,引き込み角度を大きくして切断した場合など,生徒が行いがちなパターンを収録した。なお,この教材は,下記のURLに公開している。 (http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~nagatomi/subcommittee_wood/)
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