本研究では,中学校技術・家庭科技術分野における生徒の加工技能の上達を支援する加工音を活用した指導方法の確立を目的として,まず,のこぎりびき作業時の加工音特性と適切な加工動作との関係を明らかにし,これを踏まえ,加工音を活用した指導方法の有効性を比較実験授業により検証した。その結果,のこぎりびき技能習得における加工音を用いた指導法は,加工精度として切断面粗さの向上に効果的である。この切断面の粗さの向上は,理想的な音の強弱やリズムを意識させることで,のこぎりを引くときに加える力が弱まることに起因していると考えられることから,加工音は,引き返し時の力の入れ方の指導に利用できると考えられる。
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