研究課題/領域番号 |
25381192
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
住田 勝 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (40278594)
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研究分担者 |
森 美智代 福山市立大学, 教育学部, 准教授 (00369779)
寺田 守 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (00381020)
渡辺 貴裕 東京学芸大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (50410444)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 文学教育 / 小中連携教育 / 物語構造 / 話し合い活動 / 言語活動 |
研究実績の概要 |
今年度は、前年度の基礎研究を具体的な国語学習指導の実践現場で検証することを目指した。具体的には、大阪市「がんばる先生支援」事業の大阪市立花乃井中学校グループとのタイアップなどを通して、小中連携カリキュラムの到達点としての中学校三年生での、物語の読みの能力としての分析コードの振る舞い、また、そうした分析コードが共有された仲間のなかで具体的な話し合いを通してどのような分析と解釈が成立していくのかを検討した。 大阪市立花乃井中学校での取り組みにおいては、中学校三年生教材である「高瀬舟」(森鴎外)を用いて、中学校における最重要な分析コードとしての「語り」の問題を、学習者が取り組める活動として開発することに取り組んだ。これまで検討してきた、「人物」や、「プロット」という小学校でも繰り返し強調されてきたコードについては、中三の学習者たちはかなり熟達し、話し合いを進める重要なデバイスとして機能していることが見て取れた。しかし、「語り」は、授業者自身がどのように課題化するかを十分にこなしきれなかったこともあり、結果的に直接的な利用を促すことができなかった。物語や小説における「語り」の問題は、避けては通れない重要なコード性なので、今後どのように学習課題として取り上げていくべきなのか、検討していかなければならないだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の取り組みの目標としては、具体的な授業実践から得られた学習者の様々な反応データを、テキストマイニングの手法で分析し、学習指導の効果や達成を合理的に論証することを視野に入れていた。しかし、ソフトウェアの購入や、ハードウェアの整備に関しては行ったものの、肝心のテキストマイニングという分析手法がかなり特殊で、その手法への習熟自体に時間がかかり、授業実践の評価に進むことができなかった。最終年度に向けて、こうした新しい分析手法の可能性を含めて新たに検討を重ねていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後の取り組みは、昨年度中学校の最終年度での学習者の文学テクストの読みにおける分析コードの振る舞いについて一定具体的な姿を捉えたので、そこで課題として残った「語り」をどのように教材化するのかという問題に取り組みたい。また、テキストマイニングという新しい手法が、こうした研究にどのような可能性を与えるのかを具体的な分析の試みを通して明らかにしていくつもりである。最終年度いうこともあり、小中9年間の文学テクストの読みを支える分析コードの体系的な記述と、そうした分析コードが良好に機能する学習集団の振る舞いの条件について、総合的な考察を行い、これに引き続く継続研究のための道筋を明らかにするつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
今回、次年度使用額が生じた理由は、テキストマイニング関連のソフトウェアを大阪教育大学で試験的に購入し、使用のめどが立った段階で各分担者に発注してもらう手筈で、計画していたが、既に述べたようにこの分析手法への習熟が不透明で、購入に至らなかった。その分をそれぞれの分担者において振り替える努力を試みたものの、全額の振替ができなかったものである。
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次年度使用額の使用計画 |
この次年度使用分は、研究計画でも述べたように、テキストマイニングソフトウェアの購入計画のためにその一部を補填する形でそれぞれの分担者において支出される見通しである。
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