研究課題/領域番号 |
25381193
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
石井 俊行 奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (50636446)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 共通性 / 気づき / 飽和 / 圧力 / 濃度 / 湿度 / 表 / グラフ |
研究実績の概要 |
以下の2点が挙げられる。いずれも学会研究紀要に掲載された。 1点目は、学習が転移する条件の1つとして、2つの対象に「共通性」があることに生徒が気づくことが重要であることを前報で報告したが、今回、この「気づき」には段階があることが判明した。それは、自分で学習をしていて気づく段階(A段階)と他から何らかの情報を得て気づく段階(B段階)、全く気づかない段階(C段階)という3つの段階である。分析の結果、「濃度テスト」、「湿度テスト」、「理科学力」の平均値は、A段階、B段階、C段階の順に高く、これらの間には有意な差がみられた。このことより、「気づき」の段階を移行させるためにも、理科教師は生徒にすべての単元の学習を「共通性」というキーワードで常に意識させて学ばせ、「気づき」の段階を順に高めさせていく必要があることが分かった。 2点目は、どのような指導を行えば中学生の「圧力」の理解が深まるのかについて調査を行った。その結果、圧力の公式を文字式として表現できる能力が表の完成やグラフ化に大きく影響し、「圧力」の指導では、生徒に公式を文字式として表現させ、実験結果に加え、力の大きさや力のはたらく面積を相互に変化させて「圧力」の大きさの変化を表やグラフにまとめさせる過程を踏ませていく指導が必要であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年の報告書に、「圧力」に関しては学会等に論文を投稿する予定であると記した。その投稿論文が今年3月に学会紀要に掲載された。 また、「濃度」に関しては、「飽和」という共通性に着目し、中学2年生で履修する「湿度」を学習する際に、中学1年生で履修済みの「濃度」とを対比して、そこで共通性に気がつかせ、学習を円滑に進めていく方法もよいのではないかと記した。その投稿論文が今年3月学会紀要に掲載された。 さらに、数学と理科で共通な「単位」に着目し、「単位」を意識させることで、生徒の公式の理解が深まるのではないかという仮説のもと調査を行い、その論文を今年2月に学会紀要に投稿し、現在審査中である。
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今後の研究の推進方策 |
今年2月に、「浮力」に関する調査を終了し、それについて現在分析中である。 今年2月に、「光の反射」における実践授業を実施した。それについても分析を進めてまとめていきたい。 今年度は最終年度であるため、その成果をさらに学会研究紀要に発表できるよう、分析を進めて論文を作成していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
残高が5000円以下であった。最終年度である今年に、予算をまわし、有効に使用したい。
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次年度使用額の使用計画 |
残高3944円を最終年度である今年に別刷代等に当てて有効に使用したい。 別刷代金等も現在50000円の請求がきている。なお、今後学会投稿する度に、別刷り代金が30000~40000円かかることになり、科研費が非常にありがたい。
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