研究課題/領域番号 |
25381194
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
棚橋 尚子 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (20272271)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 学年別漢字配当表 / 教科専門語彙 / 語彙習得 / 漢字習得 |
研究概要 |
平成25年度,本研究においては「学年別漢字配当表に配当された漢字と習得語彙との関係」の調査の実施を通して,学年別漢字配当表に配当された漢字を習得させる「場」について考察を重ねた。調査は,「学年別漢字配当表(第6学年)に配当された漢字語彙で,教科に特徴的に提示される漢字を含む語彙が,どのように定着しているかを検証,分析する」ことを目標に,奈良市内の国公立中学校4校の第1学年生徒517名を対象に行った。調査方法は,漢字調査(質問紙法)による30問の書き取り調査であり,社会科と理科より教科別配当の候補となる「ターゲット漢字」を抽出,それぞれ対応する漢字語句を選定した。その結果,漢字語彙の教科配当に際して,以下のような留意点が顕在化した。 ① 抽象的な語句に配慮が必要であること―「人権」「憲章」など抽象的な概念を表す語句の定着率が低く,そのような語句こそ丁寧に扱い「権」や「憲」の意味を十分に考えさせる機会を教科内で与える必要がある。 ② 教科専門語句はもちろん,そうでない語句をも丁寧に扱う必要性があること―「権利」「人権」などの語句に比し,正答率の思わぬ低かった語句に「権限」があった。前者の語句は,テスト等で書くことが想定できるが,後者はその限りではない。このような語句を「落とさないで」指導する「場」の設定の必要性が感じられた。 ③ 専門用語の「意味」を指導ことの重要性の了解―「参政権」については,間違いのほとんどが「賛成権」とするものであった。「政治に参加する」という意味的な部分の指導が不十分であったのではないかと考えられる。「治外法権」や「執権」なども「名称」として指導するのではなく,その意味を丁寧に考えさせる必要があると言える。 以上の調査から,教科専門用語は教科で漢字の意味性を踏まえて指導することの重要性が明確になり,教科別,語彙別配当の必然性を導くことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は,当初の計画では小学校教科書のデータベースを作ることを念頭に置いていたが,教科語彙が教科書改訂の影響を大きく受けてはいないと判断して,先に習得実態調査を行うことにした。その結果,学年別漢字配当表に配当された漢字の教科別配当の方向性が導かれたため,研究全体としては,方法の変更があったものの到達度は当初の予定通りと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度については,教科専門用語のデータベースを作成することを計画している。以前の研究成果である平成17年度教科書コーパス(文部科学省科学研究費特定領域研究 「代表性を有する大規模日本語書き言葉コーパスの構築: 21世紀の日本語研究の基盤整備」 言語政策班制作)をもとに,分析検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度研究実績でも述べたように,研究計画の微調整を行ったことによる小学校国語科教科書データベースに関する費用が漢字習得調査に振り替えられた事由により生じた予算を新たなデータベース作成費用に充当するため。 中学校平成24年度版教科書購入費用とデータベース作成費用を核に,台湾における漢字習得実態の調査や,教員向けワークショップ開催に配当予算を使用していく計画である。
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