研究課題/領域番号 |
25381195
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
山本 奈美 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (20351934)
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研究分担者 |
今村 律子 和歌山大学, 教育学部, 教授 (00176504)
赤松 純子 和歌山大学, 教育学部, 教授 (40141709)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 家庭科 / 食生活 / リスク / 教科書 |
研究実績の概要 |
本研究は、家庭科における食の安全・安心を特定の食品問題に限定することなく広く捉え直したうえで、児童・生徒が自らの食生活における安全・安心を主体的に考えるための教材開発を目的としている。昨年度に行った高校生・大学生・教員を対象とした食の安全・安心に関する調査と中学校技術・家庭 家庭分野の教科書分析に続き、今年度は小学校家庭科の教科書分析を行い、その変遷と中学校との関連について検討した。 中学校教科書での食中毒の取り扱いは、平成13年検定教科書以降、しだいに記述が詳細になっているのに対し、小学校では「食中毒」という用語そのものの出現は明確でないものの、野菜の洗い方、ゆで方、卵の選び方、じゃがいもの調理等において、食中毒予防をねらいとした記述が一貫して認められた。特に野菜の洗い方については、サラダ(生野菜・ゆで野菜)を実習題材としてその目的と方法が詳しく示されていた。しかし、肉や魚は小学校での取り扱いがないことから、調理実習で扱う食材ごとの学習にならないよう、洗う、切る、加熱するといった調理操作そのものが食生活のリスクを低減させるために自らが取り組める生活上の工夫であることの認識を持たせることが大切であると考えられた。一方、小学校教科書の食品添加物についての記述は「少ないものを選ぶようにしよう」との価値判断を含む記述が中学校より早期に見られなくなっていた。しかし、消費生活の学習と関連して表示やマークを手がかりに食品を選ぶ内容が取り上げられており、中学校での学習内容との整理が必要である。家庭科教員を対象とした聞き取り調査からは、これらの教科書記述の変化に対して内容の取扱いに苦慮している様子が伺われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教科書分析の結果を踏まえ、小・中学校それぞれに授業を構想することとした。当初予定と順序を入れ替えたため中学校での実践にはいたらなかったが、小学校分の進捗状況から全体として概ね予定どおりと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
食生活のリスクを低減させるために自らが取り組める生活上の工夫として、調理の目的を認識させるための授業実践を小学校で、さまざまな情報に基づいた主体的な価値判断を目指した授業実践を中学校で計画する。実践の年度が重複したため、スケジュールと役割を調整して対応したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
教材作成のための物品購入に時間を要し、次年度での購入となった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度早期の納入が見込めるため、教材作成に必要な経費として使用を計画する。
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