本研究の目的は戦後理科教育改革を担った日米イノベータの思想と行動様式を明らかにすることであった。関係する文献資料を分析検討したところ,戦後日本における小学校理科学習指導要領及び教科書の成立はアメリカ側GHQ/SCAP/CIE係官や日本側文部省係官だけでなく,理科研究中央・地方委員会に参画した小学校教師や理科教育関係者らによって成し遂げられたことが判明した。そしてこれら多数の理科教育関係者を結びつけていたのが,日本側イノベータとしての文部省の岡現次郎や理科研究地方委員会の藤田穆,河野通匡,郡清ら,アメリカ側イノベータとしてのCIEのV.T.エドミストン,K.M.ハークネスらの存在であった。
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