児童が学習や生活に割合を活用し,さらに割合の認知を向上させるためには,割合に対する信念や態度のような情意の向上が重要である。そこで,平成27年度は,平成26年度において実証した割合に関する認知の向上に効果がある一般化の過程と反復過程を考慮した授業実践の割合に関する情意への効果及び割合に関する認知と情意の関係について明らかにすることを中心に,研究を推進した。ここでは,割合に関する情意を,割合に対する信念と割合に対する態度の2つの側面から捉えることとした。 既に平成26年度において,小学5年生72人を対象として調査済みである割合に対する信念と割合に対する態度の事前・事後調査結果についてt検定を行った結果,事前・事後調査結果に有意な差があり,一般化の過程と反復過程を考慮した授業実践は,割合に関する認知の向上だけでなく,割合に対する信念や態度という割合に関する情意の向上にも効果があることを明らかにした。また,割合に関する認知についての事後調査及び割合に対する信念と割合に対する態度の事後調査の結果を基に,割合に関する認知,割合に対する信念,割合に対する態度の3つの関係について,重回帰分析を行うと共に,パスダイアグラムを作成した結果,割合に対する信念と認知は,割合に対する態度を通して,相互に影響し合うことを明らかにした。 これらの研究の成果は,割合指導の改善につながる実証的研究の成果として意義がある。
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