本研究において、イッテンの手書き資料、イッテンの影響を受けた人物が遺した著述や資料、イッテンが活躍した時代の出版物等について研究調査を進める中で、バウハウスからの影響がみられる人物やバウハウス及びバウハウスの周辺にみられた芸術教育に関する調査が必要なことがわかり、本研究とかかわる調査の範囲が広がりをみせてきた。本年度は、以前から計画していた研究調査とともに、必要な資料及び関連資料の研究調査を国内外で行った。この研究調査と併せて、これまでの研究調査で収集した国内外の資料についての解読と分析、資料相互の比較検討を進めた。 本研究を通して、イッテンの影響を受けた人物が遺した資料の内容を検討することにより、その時代の傾向をふまえたイッテンの芸術教育上の思索がどのように受容され、いかなる影響を与えていたのか、史実を解明するとともに、その教育的意義が具体的に見えてきた。更に、関連資料を調査する過程において、研究代表者は、川喜田煉七郎を中心とした日本の構成教育運動との新たな接点を見つけることができた。バウハウス及びバウハウスの周辺にみられた芸術教育とのかかわりについては、更なる研究を要する。 また、本年度は、バウハウス創立100周年記念の年を迎える2019年に向けて、国内外においてバウハウスに関連する展覧会や講演会、学会が主宰するシンポジウムなど、複数の関連行事が開催された。これを機に来日した研究者やシンポジウムなどの関連行事に参加した研究者と接する機会を通して、バウハウス研究にかかわる最新の動向についての意見交換を行った。
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